2017年6月号記事

マレーシア航空370便 謎の行方不明から3年

誰が何を隠しているのか

航空史上最大のスキャンダルを追う

南シナ海の上空で、乗員乗客239人を乗せた「マレーシア航空370便」が姿を消してから3年が過ぎた。さまざまな物証や専門家の分析から、南インド洋に墜落したとする通説を覆す真相が浮き彫りになった。

(編集部 山下格史、小林真由美、片岡眞有子)


contents

「370便は通信が途絶えた直後南シナ海に墜落した」 / マレーシア航空370便 謎の行方不明から3年 誰が何を隠しているのか 航空史上最大のスキャンダルを追う Part 3

「370便は通信が途絶えた直後南シナ海に墜落した」 / マレーシア航空370便 謎の行方不明から3年 誰が何を隠しているのか 航空史上最大のスキャンダルを追う Part 3


参考記事


Interview

「370便は通信が途絶えた直後南シナ海に墜落した」

3年経った現在も370便の失踪の真相を追い続けるフランス人ジャーナリストに聞いた。

フローレンス・デ・ションジー

仏大手新聞「ル・モンド」と国営ラジオ「ラジオ・フランス・インターナショナル」の海外特派員。香港や台湾などを中心に、アジア地域を担当。著書に『MH370は消えていない』(Les Arenes出版、仏語)がある。

マレーシア当局は、「370便が突然行方不明になった」と発表していますが、これは「人間の知性に対する侮辱」です。

文明が発達した現代、世界で最も監視の厳しい南シナ海というエリアで、巨大なボーイング機が突然行方不明になることは考えられません。マハティール前マレーシア首相の言葉を借りれば、明らかに「誰かが何かを隠して」います。

複数の政府や企業を巻き込んだ隠ぺいを、マレーシア一国がやったとは思えません。マレーシアは、スケープゴートに過ぎないでしょう。

この隠ぺいには、より大きな意思が働いていると思います。特に、機体の製造元の米ボーイング社やエンジンの英ロールス・ロイス社が沈黙していることは、航空業界全体を当惑させています。

私はマレーシア政府の発表をつぶさに検証し、南インド洋で墜落した証拠が一つもないことが分かりました。そして、これまでの調査で発見したさまざまな証拠から、私は370便は通信が途絶えた直後に「南シナ海」に墜落したと考える方がより論理的だと思っています。

マレーシア当局が隠ぺいする理由は、同便が軍に誤って狙撃されたか、もしくは欠陥があり、致命的な事故が起きたかの2つのシナリオが考えられます。特に、機体の欠陥で墜落した事例は過去にもあり、珍しくはありません。

私は機長の無実を証明する必要があると思います。彼をよく知る人々と話し、警察のファイルも調べた結果、誠実で、非常に優れたパイロットだったことを知りました。だから、彼でも対処できない事態が起きたのだと確信しているのです。

私は政府や大企業が馬鹿げた説を示し、人々を騙し続けることを看過できません。真相を究明するまで、この問題を追い続けます。(談)

次ページからのポイント

インタビュー / 問題があったのは機長ではなく「機体」 スティーブン・C・マークス氏

責任者は真相を明らかにする義務がある