《本記事のポイント》

  • 日教組集会で「憲法暗記競争」の授業が紹介
  • 憲法と言えば、変えるかどうか大論争中のテーマ
  • 前文・9条の前提が揺らいでいる現状を教えるべき

日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会が、3日から5日までの日程で行われ、約1万人の教員が参加した。4日付産経新聞によると、集会では授業内容や、学校運営に関する実践レポートが670本発表された。

昨年7月の参院選から、国政選挙に「18歳選挙権」が導入されたこともあり、「主権者教育」に関する報告が多かったが、左派的な政治思想を持つ日教組"らしい"授業内容が目立ったという。

記事によれば、ある教員は、2015年に発表された安倍談話に対して、「過去を水に流すのはいいのか」と批判した上で、授業で憲法前文と9条の条文暗記を、生徒に競争させる形で行ったことを発表したという。

憲法前文も9条も、現に存在する法律なので、それを生徒に覚えさせること自体は問題ない。しかし、憲法前文・9条と言えば、現在の日本において「見直すべきかどうかが大論争されているテーマ」だ。こうした背景を教えず、憲法の条文だけが頭に残るような教育をしているとすれば、それは中立と言えるのだろうか。

国民の多くが、「憲法の条文を変えるべきだ」と考えている現状に、生徒たちが目をふさがれているとすれば問題である。

朝日・東大谷口研究室が共同で行った世論調査によると、42%が憲法改正に賛成しており、25%が反対している。賛成派が改憲すべきだとする内容で最も多かったのが、「自衛隊または国防軍の保持を明記」で57%だった(2016年9月7日付朝日新聞)。護憲派の朝日新聞の世論調査でさえ、世論が現在の憲法に懐疑的であることを示している。

この憲法を改正するかどうかは、2016年の参院選でも争点の一つになった。

さらには、その背景として、「国際情勢が変わり、単に『戦争放棄』を謳うだけでは、自国を守れない」「憲法自体が、GHQから押し付けられたものだ」という意見が強まっていることは、教えられたのだろうか。

そのGHQの総司令官であったダグラス・マッカーサーが「日本が戦争に突入したのは、主に自衛の必要に駆られてのことだった(Their purpose, in going to war was largely dictated by security.)」と証言していることは、教えられないのだろうか。

これは、1951年の米上院の軍事外交委員会での証言。「日本は侵略国家だった」と断じた東京裁判の全権を委任され、憲法9条をつくらせた張本人であるマッカーサーのこの発言は、憲法の正当性をひっくり返しかねない重要な知識だ。

偏った知識を与えることは、事実上、偏った価値観を押し付けていることになりかねない。

教育は「国家百年の計」と言われる。教育現場において、偏った知識のみが教えられれば、数十年後に国全体が誤った判断をしかねない。今一度、全国の教育内容のバランスを検証してもいいのではないか。(詩)

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