広く「偉人」と称される人々は、献身的な妻に支えられていることが多いもの。しかし、そのような内助の功は、往々にして語られません。本欄では、そうした「妻」に焦点を当ててみたいと思います。

今回は、260年続く江戸幕府の初代将軍・徳川家康公を支えた、側室について見ていきましょう。家康公は、生涯で、正妻・側室合わせて20人ほどの妻を持ちましたが、その中でも特に信頼を寄せていたとされる側室が2人います。

それが、阿茶局(あちゃのつぼね)とお勝の方です。2人の共通点は、その優れた才知と女だてらに戦場に同行したことです。また、2人とも生前に出家し、阿茶局は自身の菩提寺を、お勝の方は尼寺を創建しています。