2017年1月号記事

2●17年日本のチャンス

フィリピンの「暴言」大統領

ドゥテルテはどこへ行く?

今年6月に就任して以来、数々の暴言や、人権無視の麻薬撲滅政策で有名になったフィリピンのドゥテルテ大統領。"暴君"が現れたと世界が不安を覚える中、関係者の取材から、その正体を解き明かす。

(編集部 山本慧)


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自身をヒトラーになぞらえ、ためらいもなく犯罪者の殺害を煽る。大型バイクのハーレーダビッドソンを愛用し、妻2人の他に、恋人も2人いると公言してはばからない男。映画の話ではない。フィリピン大統領、ロドリゴ・ドゥテルテ氏のことだ。

「フィリピンには麻薬中毒者が300万人いる。私も虐殺してやりたい」

「(アメリカのオバマ大統領は)地獄へ落ちろ」

「中東の虐殺も解決できない国連は黙っていろ」

ドゥテルテ氏は、こうした暴言で一躍有名となり、世界は得体の知れない男におののく。そんな暴言王など、フィリピンの国民は総スカンと思いきや、支持率は86%を記録しているのだから驚きだ(注1)。

「彼は国際社会では暴言で知られていますが、フィリピン人は彼のことを誇りに思っています。これまでの政治家とは完全に異なり、この国をいい方向に変えていく決意があります」

ダバオ市の30代女性はこう話すが、「そんなまさか!」と思ってしまう人もいるだろう。暴言王の人気の理由は何なのか。

(注1)パルス・アジアが10月に発表した世論調査。

次ページからのポイント

「麻薬撲滅戦争」を指揮

ドゥテルテの外交戦略

大統領の相談役にインタビュー 日本はフィリピンの真の友人だ / ハリー・ロケ氏