消費税10%への増税を来年4月から、2年半後に再延期する法案が18日に可決成立した。これに伴い、増税と同時に導入を予定されていた、自動車の新しい税金「燃費新税」の成立も見送られた。

燃費新税とは、普通車を購入する場合、購入価格の0~3%を課すもので、燃費が良い車ほど税率が低くなる税金だ。主に自動車業界から、「消費税との二重課税」と批判を受けてきた自動車取得税を廃止し、その代わりに導入される予定だった。

日本は自動車「重税」国家

一見すると、新税の導入は、二重課税の解消につながるように見えるが、それは事実ではない。実は日本は、自動車関係の税金だけで9種類もあるほどの「重税国家」である。

  • 自動車取得税(自家用車の取得価格の3%)
  • 自動車税(総排気量に応じて課税)
  • 軽自動車税(自家用軽自動車は年10800円)
  • 自動車重量税(重量に応じて課税)
  • 揮発油税(ガソリン1リットル当たり48.6円)
  • 地方揮発油税(ガソリン1リットル当たり5.2円)
  • 石油ガス税(LPG1キログラム当たり17.5円)
  • 軽油取引税(軽油1リットル当たり32.1円)
  • 消費税(車・ガソリンなどの購入時点)

そうした重税感は、大半の自動車ユーザーも感じ取っている。

日本自動車工業会の「2015年度 乗用車市場動向調査」によれば、「負担感が大きい」と回答されたもののうち、自動車税は75%、自動車重量税は74%、燃料代は65%であったという。これは、年収や地域、家族構成などに大きな違いが見られず、多くの人が等しく負担を感じていることも分かっている。

それらに加えて、車検代や保険代も支払う必要があり、消費者には、自動車保有の経済的負担が重くのしかかっている。

日本の税負担はアメリカの38倍

実際、自動車税制改革フォーラムの調べによると、180万円の車を3年間利用した場合、約53万円の税金を負担しなければならないと試算されている。自動車本体への課税のみを国際比較しても、日本の税負担は、ドイツの4倍、フランスの13倍、アメリカの38倍にも達するという。つまり、日本の税金は、世界的に見ても異常に高いというのだ。

そんな中、さらに消費税を増税すれば、日本の自動車業界が壊滅的な影響を受けるのは必至だ。若者が「コスパが悪い」と感じて、車離れがさらに加速すれば、かえって自動車関連の税収も、ジリ貧になっていく恐れもある。

日本の景気を回復させるために、自動車関連の税金を引き下げることも考えるべきではないか。

(山本慧)

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