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ロシアが核戦争に備えた大規模な訓練を行ったと、米ウォール・ストリート・ジャーナル電子版が報じた(25日付)。

ロシア国民4000万人と20万人の救急隊員が10月上旬、ロシア各地で化学兵器・核兵器などからの防衛訓練に参加した。この訓練は、ソ連崩壊以降で最大規模となった。

モスクワでも市民防衛計画の見直しが進んでおり、非常事態省のミシュチェンコ次官は、「モスクワでは、市の地下空間の調査などが実施された。これはモスクワ市民をシェルターに100%収容する計画のためだ」と述べた。

シリアで繰り広げられる米露の代理戦争

この背景にあるのは、シリア内戦をめぐるアメリカとロシアの対立悪化だ。アメリカとロシアは9月、シリア停戦に合意したものの、9月中旬の誤爆をきっかけに、関係が悪化。アメリカが10月3日、ロシアとの停戦協議の停止を表明した。

ロシアの世論調査会社のトップ、レフ・グドコフ氏は「現時点では依然として『冷たい段階』にある。熱い戦争になるかどうかは分からない」と指摘している。

クリントン大統領になれば、第三次大戦?

だが、今回の防衛訓練が行われた理由は、これだけではなさそうだ。ロシアは、米大統領選の民主党候補であるヒラリー・クリントン氏の外交政策に危機感を持っている可能性もある。

アメリカ統合参謀本部議長のダンフォード大佐は、クリントン氏が提案する「シリア上空の飛行禁止区域の設定」などの外交政策を実施した場合、「第三次世界大戦が起きかねない」と指摘した。

米上院軍事委員会議長も、「シリアの領空を統制するためには、シリアとロシアに対する戦争に突入する必要がある。これはあまりにも抜本的な決定であり、私がその決断を行うことは決してない」と述べている。

飛行禁止区域が設定されれば、ロシア軍機の行動も制限される。ロシアは、飛行禁止区域には、イスラム国のテロリストたちが潜伏しており、イスラム国を弱体化させるためには空爆の継続が欠かせないとして、飛行禁止区域の設定に反対している。

米大統領選の共和党候補であるドナルド・トランプ氏も25日のインタビューで、「ヒラリー・クリントンの言うことを聞いていたら、シリアをめぐって第3次世界大戦になってしまう。もはや戦う相手はシリアだけでなく、シリアとロシアとイランと戦うことになる」と批判。「ロシアは核保有国だ。しかも口先だけのほかの国と違って、実際に使える核の国だ。あれほど悪人扱いした相手と、どうやって交渉するのか」とも述べた。

トランプ氏の指摘通り、お互いを嫌悪し合っているクリントン氏とプーチン大統領では、核戦争にまで至らずとも、代理戦争が激化する恐れは十分ある。一方、トランプ氏とプーチン大統領ならば、世界の平和を構築するため、一定の協力関係を築くことができるだろう。11月8日は、米大統領選の投票日。アメリカ国民が適切な判断をすることを期待したい。

(山本泉)

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