地方都市の店舗を閉め、経営合理化を進める西武(画像はTK Kurikawa / Shutterstock.comより)。

地方都市の看板だった百貨店の閉店が相次いでいる。

千葉県柏市のそごう柏店と、北海道旭川市の西武旭川店が、9月30日に営業を終了した。来年2月には西武筑波店と西武八尾店が、翌3月にも三越千葉店と三越多摩センター店が閉店を計画している。

経済産業省が発表した8月の商業動態統計速報によると、小売業販売額(全店ベース)は、前年に比べて、2.1%減少の11兆3040億円となり、6カ月連続の減少を記録。うち、百貨店・スーパーの販売額は、3.2%減少の1兆5540億円だったという。

「爆買い」は地方を潤さず

百貨店を取り巻く環境は厳しい状態が続いており、業界には「合併再編」の波が押し寄せていた。

2006年に、そごう・西武がセブン&アイ・ホールディングスに加わると、07年には、大丸と松坂屋ホールディングスが経営統合。伊勢丹と三越も、08年に合併するなど、経営規模を拡大する流れにあった。業界全体の業績不振を受け、百貨店に店を構える衣料業界も、「厳冬の時代」を迎えている。

こうした中、昨年、中国人観光客による「爆買い」が、デパートにとっての一筋の光明かのように言われていた。マスコミはこぞって、爆買いニュースを取り上げたものの、その影響は、地方都市には十分に波及していなかったと言える。

消費増税影響の尾を引く

ドミノ倒しのように続く、百貨店の閉鎖現象には様々な要因が指摘できるが、その決定打となったのは、間違いなく消費増税だ。

2013年の全国百貨店売上高は、全店ベースで前年と比べて1.2%増加となり、16年ぶりに前年比プラスとなった。だがその勢いは、14年の消費増税によって、早くも腰折れし、以前のような勢いを取り戻せないでいる。

つまり、消費増税の悪影響を最もよく示しているのが、百貨店の閉鎖であると言える。安倍政権は、全国津々浦々までアベノミクス効果を広めるとするが、地方創生の効果はほとんどないに等しい。地方経済を活性化させるためにも、消費減税の必要性が増すばかりだ。

(山本慧)

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