中国とロシアの海軍が、南シナ海で、本格的な合同軍事演習を行った。

12から19日までの日程で、中露合わせて艦艇13隻、潜水艦2隻、航空機・ヘリ21機、海軍陸戦隊員256人などが参加。両国による演習は2012年から続いているが、南シナ海で行われたのは初めてだ。

中国は7月、オランダ・ハーグの仲裁裁判所から、「中国が主張する九段線内の資源についての"歴史的権利"の主張は法的根拠がなく、国連海洋法に違反している」と、同海域における主権を全面的に否定されたばかり。

ただ、今回の演習を見れば、中国が南シナ海から手を引くつもりがないどころか、「これからも権益を拡大させる」と宣言していると受け止めるべきだろう。

中露の接近は、地球規模の危機になりかねない

ロシアは、クリミア問題で欧米諸国から経済制裁を加えられており、国内経済が厳しいため、「反欧米」で利害が一致する中国と手を組んでいる状況だ。

中露両国の接近は、日本にとって国防上の危機が飛躍的に高まるが、もし今後、同じ「反欧米」のイスラム諸国が両国と手を組んで、それぞれがテロや兵器の融通、他国への侵略を行うような局面になれば、地球規模での危機になりかねない。

中露の接近は、それだけの危険性を内包している。

日米露で中国を封じ込める!?

プーチン露大統領は今年12月に来日して、安倍晋三首相と首脳会談を行う予定だ。

日本は、北方領土の返還を念頭に、経済的つながりの強化(協商関係)、平和条約の締結へと進め、ロシアを「親日国」としてつなぎ止めなければならない。その意味で、今回の首脳会談は、日本の存亡をかけたものと言っていいだろう。

犬猿の仲だったアメリカでも、アメリカ大統領選を戦っている共和党候補者のトランプ氏は、プーチン氏に関して、「我々大統領(オバマ氏)より、はるかにすぐれた指導者だ」と評している。もしトランプ氏が大統領になれば、日米露で中国の軍拡を封じ込めるという新しい時代を開くことができるかもしれない。

日本は独自の外交戦略で「地球的正義とは何か」を追究すべき

現在の国際社会には、アメリカを中心とした「戦後体制」の価値観が広がっている。多くの日本人がそれに慣れてしまっているが、アメリカの正義がすべて正しいというわけではない。

もちろん、日本は、世界の警察官から退こうとしているアメリカのお尻を叩いて、元気づけなければいけないが、その一方で、日本独自で自分の国を守れる体制をつくらなければならない。

日本は独自の外交戦略を練って、アメリカを従わせるほどのリーダーシップを発揮するためにも、一刻も早く一国平和主義の価値観から脱し、新しい時代の「地球的正義とは何か」を追究すべきである。(増)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『正義の法』特別ページ

http://www.irhpress.co.jp/special/the-laws-of-justice/

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