東京オリンピック・パラリンピック開催まで、あと4年となった。2020年に向けて、日本人の英語能力を強化すべく、さまざまな取り組みが検討されている。

東京都は、2018年9月末までに、英語教育改革の取り組みの一環として、「英語村(仮称)」を開設する予定だ。

英語村とは、原則、英語のみをコミュニケーション言語として、国内にいながら外国生活を疑似体験できる施設である。すでに、日本にいくつか存在してはいるが、その数はまだ少ない。

英語力の向上はもちろん、英語を使って積極的にコミュニケーションをしようとする態度や、日本人としてのアイデンティティ、豊かな国際感覚を身につけることを目的としている。

3社が合同で、新しい英語の試験を始める

文部科学省も、2020年およびそれ以降を見据え、小・中・高等学校を通じた英語教育全体の改革実施計画を発表している。8月初旬に発表された学習指導要領の改定案によれば、2020年度より、小学5~6年生から英語が正式教科となることも決定している。

都や国による取り組みも行われている一方で、民間でも東京五輪に向けて英語教育改革が行われている。

毎日新聞社、旺文社、カシオ計算機の3社が合同で、「聞く」「話す」の2技能に重点を置く「英語応対能力検定試験」事業を始めることが25日、発表された。東京五輪に向け、増加する訪日外国人への対応力を上げるための取り組みとしている。来年3月に第一回試験を実施する予定だ。

こうした取り組みが始まっていることを考えると、東京五輪は、日本の首都・東京を国際都市へと変貌させるチャンスと見ることもできるのではないか。

世界の歴史を見れば、最高の繁栄を誇った国および都市は、必ず国際都市になっている。近年で言えば、ニューヨークがそうだ。古代にも、メンフィスやテーベといったエジプトの首都、古代ローマ、唐の都・長安などがある。

「何を伝えるか」という観点が重要

では、東京が国際都市になるためには、一体どうすれば良いのだろうか。

まず「英語力」は必須であろう。上記の試みのように、英語能力を身につけられる環境を整備することは大切だ。

ただ、単に「英語が話せる」人が多いことをもって、国際都市とは言えない。私たち一人ひとりが、世界の人々が学びたいと思うような、日本の誇る有形・無形の財産を、発信し、紹介できるようになることが望まれる。英語を身につけるだけでなく、英語を使って「何を伝えるか」という観点が必要だ。

また、国際都市とは、さまざまな人種が集まり、それらの人々が活躍する場所だ。そう考えると、語学だけではなく、日本人のマインド面やインフラ、さらには、日本で仕事をしやすくするなど、改善すべき点は山のようにある。

世界の人々が夢見る国際都市「Tokyo」を実現する第一歩は、私たち一人ひとりが「東京を国際都市にする」と志すことなのかもしれない。

(片岡眞有子)

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