「選挙に行こう!」と、様々な啓蒙活動が展開されている。しかし、選挙の重みは、日本の中だけを見ていても分からないかもしれない。

政治参加が「犯罪行為」になる?

6月、カナダの人権活動家らが発表した報告書において、「中国では年間6万から10万件も受刑者からの臓器摘出が行なわれている」という現状が明かされた。

臓器摘出をされた受刑者の多くは、中国共産党と意見が異なる人々。つまり、「政治犯」だ。

具体的には、ウイグル族やチベット族など、戦後に中国に侵略された民族が多い。独立運動などの政治活動が、犯罪行為とみなされている。

また、キリスト教徒や、非合法の気功集団「法輪功」の信奉者も受刑者の大勢を占める。自由や民主主義などを求める人権活動家たちも含まれているだろう。

日本の若者には「面倒くさい」と言われる政治参加は、中国では命懸けの行為だ。

「雨傘革命」の憧れは日本

2014年の香港における「雨傘革命」は鬼気迫るものとなった。それも、現地の学生たちが、中国のこうした状況をよく知っているからだ。中国国民と同じ状況に自分たちが置かれる瀬戸際に立ち、若者たちの危機感が爆発した。

このデモを率いた学生リーダーの一人で、「香港のジャンヌ・ダルク」と呼ばれたのが、当時17歳だった女子大生・周庭(アグネス・チョウ)さん。

周さんは、日本のアニメやアイドルの「オタク」でもある。そんな憧れの国、日本で若者の投票率が下がっていることに対して、周さんは、本誌の取材にこう語っている。

「私たち香港人は、国のトップを選ぶために投票する権利すら与えられていません。日本の若い人には、すでにその手にある政治的な権利を大事にしてもらいたいです。政治とは私たちの日常生活の中にあり、皆さんには日本の重大な変革を起こす使命があるかもしれないからです」(本誌2015年11月号記事)

香港の学生にとって、日本の選挙権は憧れだ。

シンガポール紙「日本のメディアも悪い」

同じくアジアのシンガポールでは、投票は国民の義務とされている。投票に行かない場合は選挙権が剥奪され、再び選挙権を得るには罰金を払わなければならない。

そのシンガポール最大の新聞であるStraits Times(9日付)は、初の18歳選挙を迎える日本の若者に注目し、その政治活動と政治的無関心を取り上げている。

同記事では、幸福実現党のメディア・TRUTH YOUTHで活躍する、早稲田大学政治経済学部3年生の坂爪祐貴(20歳)さんのコメントを紹介している。

「香港大学の学生が、投票は権利であり、責任であるということを教えてくれました。僕は、自由がある国・日本の若者として、政治について考え、行動し、日本、アジア、そして世界に貢献したいと思っています」

「アジアの大国として、日本は(中国・北朝鮮などの)権威主義国家に対して、立ち上がる義務があると思います」

民主主義とどのように向き合っていくかは、アジア全体の課題とも言える。

同紙が「(若者の)政治的無関心は、メディアにも責任がある。日本の普通のテレビニュースは、非常に国内向けで、芸能・ゴシップに偏っている」と論じているのも興味深い。

シンガポールにとって、日本の若者の政治への無関心は、不思議な現象に映るのかもしれない。

政治参加が命取りになる中国、政治参加の自由を守るために命を懸ける香港、投票が権利ではなく義務であるシンガポール――。当たり前のように見える日本の選挙権も、こうした国々から見ると、少し重みが違って見えてくるのではないか。(大/光)

【関連サイト】

若者による政治体験 幸福実現党TRUTH YOUTH 僕が香港に飛ぶ理由

http://truthyouth.jp/2016/152/

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