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中国軍艦による口永良部島付近での領海侵入に続き、上空でも一触即発の危機が起きている。

萩生田光一官房副長官は29日の記者会見で、6月17日に尖閣諸島周辺に中国軍の戦闘機が接近し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進した際に、「上空で近距離のやり取り」があったことを明らかにした。

この件について、航空自衛隊の元空将である織田邦男氏が、WebメディアのJBpress(6月28日付)に寄稿した。

中国機は以前から接近行動を繰り返してはいたものの、ある一定のラインまで来ると引き返していたという。記事によれば、今回はその一線を初めて越え、空自戦闘機に対し、ミサイル攻撃の前段階とされる「攻撃動作」をとってきたというのだ。

この件について織田氏は、「冷戦期にもなかった対象国戦闘機による攻撃行動であり、空自創設以来初めての、実戦によるドッグファイト(格闘戦)であった」と強い危機感を露わにしている。

さらに同氏は、今回の事案は、中国機が自由に日本の領空に留まり、尖閣諸島の実効支配を完結させるための第一歩だと主張。最悪のシナリオとして、9月までの間に、東シナ海の海上か上空で、日中の小規模紛争が起きる可能性は極めて高い、と分析している。

この織田氏の寄稿を受け、萩生田氏は会見で、「攻撃動作をかけられたとか、ミサイル攻撃を受けたという事実はない」と説明している。

しかし、織田氏の寄稿が本当であれば、早急な対策が必要なのは明らかだ。

空自戦闘機の緊急発進回数は5年間で約4倍に

そもそも、東シナ海はこれまでにも緊迫した状態にあった。

2015年度に空自戦闘機の緊急発進回数は943回を記録した。これは2010年度の約4倍。この年以降、年々増えているが、奇しくも2010年は、尖閣諸島付近で中国漁船衝突事件が起きた年だった。

この事件では、尖閣諸島の海域で違法操業をしていた中国漁船が、海上保安庁の巡視船に体当たりしたが、民主党(現・民進党)政権は、あろうことか簡単に中国人船長を釈放してしまった。こうした弱腰外交が、中国の軍事行動を助長してしまっている。

このような過去の失政があったにもかかわらず、参院選で国防強化を真っ正面から訴えているのは、幸福実現党のみだ。野党はもちろん、憲法改正を目指している自民党ですら、「ことを荒立てたくない」のか、票が減るのを恐れてか、国防を争点化していない。国民の生命、財産を守るためにも、国防の議論を避けるわけにはいかない。

(冨野勝寛)

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