理化学研究所や京都大学などでつくるグループは6日、「加齢黄斑変性」という目の病気をもつ患者に対し、他人のiPS細胞から網膜をつくって移植する臨床研究を、来年の前半にも実施する計画を発表した。7日付各紙が報じた。

計画では、他人に移植しても拒否反応が起きにくい、特殊な免疫を持つ人からiPS細胞をつくる。従来の、患者本人からiPS細胞をつくる方法では、細胞ができるまでに半年以上もかかり、費用も数千万円かかっていた。あらかじめiPS細胞をつくっておく今回の方法で、期間も費用も大幅に抑えられるという。

理研の高橋政代プロジェクトリーダーは会見で、「来年の前半には手術をしたい。(iPS細胞から作った移植用の細胞を、企業が)製造販売するようになれば、コストはさらに下げられる」と語った。

この計画は、日本に70万人いる加齢黄斑変性の患者にとって、大きな希望となるだろう。この病気以外のさまざまな病気でも、iPS細胞を使った治療が可能になれば、多くの患者が救われる。

ただ、気になる点がある。なぜ、このタイミングで、「来年の前半」に行う研究の計画を発表したのか――。

海外の研究者は「STAP細胞はあります!」の前提で動いている

今年に入り、iPS細胞を超えると言われる「STAP細胞」に、再び注目が集まっている。

1月、STAP細胞の発見者・小保方晴子氏が手記『あの日』を出版。再現実験において、自分が担当する部分の実験は成功していたことを明かした。3月には、独ハイデルベルク大学の研究チームが、小保方氏のSTAP細胞の論文をベースに、STAP実験を成功させたという論文を発表した。

また5月に、米ハーバード大学附属ブリガムアンドウィメンズホスピタルが、STAP細胞の作成方法に関する特許出願を、アメリカや日本など世界各地で行っており、高額な更新料・維持費を支払っていることが明らかになった。

海外では、「STAP細胞はある!」という前提で動いているわけだが、今回のiPS細胞の計画の発表は、そうした「STAP」に関する情報を、打ち消そうとするかのようだ。

市場規模38兆円、産官学で動き出しているiPS細胞

6月11日発売の「週刊ダイヤモンド」でも、「世界を変えるiPS」と題し、36ページにも及ぶ大特集を組んでいる。iPS細胞の発見者・山中伸弥氏へのインタビューや、2050年には世界で38兆円にもなる再生医療の市場規模、産官学連携で動き出しているiPSビジネスなどについて、詳細に伝えている。

この特集では、「STAP細胞」についての記述はなく、完全に黙殺していた。

うがった見方をすると、今のタイミングで、一斉に、iPS細胞に関する情報がマスコミで紹介されている状況は、この研究に関わっている人々が、「STAP細胞に復活してもらっては困る」と言っているようにも見える。

もちろん、iPS細胞の研究も、世界に冠たる素晴らしい研究だ。

しかし、万が一、日本の科学界を始め、政治、行政、産業界が、STAP細胞のような大きな可能性を秘めた研究を抹殺するようなことをしているなら、日本のみならず世界にとっても、極めて残念なことだ。

(山本泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『小保方晴子博士守護霊インタビュー』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1493

幸福の科学出版 『小保方晴子さん守護霊インタビュー それでも「STAP細胞」は存在する』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1144

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