安倍晋三首相は、来年4月に予定されていた10%への消費増税を2年半延期すると発表した。

とはいえ、いずれ増税されることには変わりがない。自民党を批判している民進党も消費増税を決めた当事者であり、共産党も消費増税には反対しているが法人税増税を訴えている。

増税の理由として挙げられるのが「社会保障の維持」と「財政再建」だ。だが、消費税を2%程度上げたところですでに破綻している年金制度を立て直し、増え続ける社会保障費をまかなうことはできない。

さらに、消費増税は景気を冷え込ませるため、長い目で見てトータルの税収は増えない。

減税を訴える唯一の政党

増税を訴える政党ばかりの中、増税を中止し、むしろ減税すべきだと訴えているのが幸福実現党である。日本で唯一の減税路線の政党と言ってよい。

その根底には、「小さな政府を目指す」という考え方がある。「小さな政府」とは、政府の役割を国防と治安維持機能(警察)に置き、それ以外の点については、企業や個人の努力に応じた未来が開けていく仕組みにするということである。

実は、幸福実現党は7年前の立党時からこうした主張をしていた。

2009年の衆院選に出馬した大川隆法・幸福実現党総裁は、政見放送で以下のように訴えていた。

自民党においても民主党(当時)においても、先行きは大きな政府になります。大きな政府というのはわかりやすく言うとするならば、多額の税金を取ってそれを国民にばら撒くということです。その結果、財政再建は遠のいていきます。これは民主主義の最大の欠点といわれているものです。民主主義は必ずバラマキ型になりやすいんです。そうであれば選挙に勝ちやすいからです

当時、民主党は「4年間は消費税を上げない」と言いつつ、子ども手当てや農業者戸別所得補償制度、最低保障年金などのバラマキ政策を並べていた。バラマキ政策の財源を問われると「無駄を省けば(増税をしなくても)財源は確保できる」と主張していた。

だが、結局は民主党政権下の2012年6月に消費税増税法案が可決・成立した。

幸福実現党は、こうした「増税路線」に2009年から一貫して警鐘を鳴らし続けてきた。

だが、この警告に耳を傾けなかった結果、財政赤字は増え続け、今では1千兆円を超える政府の借金が積みあがっている。

増税をやめられない自民党

自民党も民進党も「増税」をなぜやめられないのか。

個人がお金を渡す見返りに投票を依頼すれば「買収」となり、選挙違反だ。

だが、政府が特定の団体や組織が有利になるような仕組みをつくったり、高齢者の社会保障を手厚くしたり、子育て支援などに税金をつぎ込めば、立派な政策となる。

その上で「こうした政策を実現させた我が党に投票してください」と言えば、事実上の買収と言えるが、処罰の対象にはならない。

本誌7月号でも報じたが、小選挙区制導入後の1994年から財政赤字が急増している事実を見ても、選挙と財政赤字には大いに関係がある。

国民も社会保障の充実と、増税ならびに財政赤字の増大はセットであることに気づくべきだ。

もし、現在の社会保障の仕組みを維持しようとすれば、将来的には消費税率70%ほどに上げなくてはならないという試算もある(原田泰氏の試算)。消費税が数パーセント上がっただけで、現状の社会保障制度が維持されるというのは無理がある。

安全保障強化を一貫して訴える

幸福実現党は、安全保障問題についても立党時から一貫して訴えてきた。

大川隆法党総裁は、先述の2009年の政見放送で、国防政策について力説した。

「(立党の) 第一の目的はこの国の国防を磐石にするということです。現在のままであれば北朝鮮からミサイルを日本国内に撃ち込まれる。あるいは核兵器を持って威嚇されることがあってもこの国の国防体制は十分であるとはいえません

なお、2009年衆院選時の民主党鳩山代表による政見放送では、国防政策についてまったく触れていなかった。

自民党の麻生総裁の政見放送では、北朝鮮のミサイル発射や核実験に触れていたものの、当時の麻生政権は、北朝鮮から長距離弾道ミサイルが発射された際、十分な対抗措置を取れなかった。翌月の5月に北朝鮮で2回目の核実験が行われた直後、記者から「なぜ国際社会は止められないのか」と聞かれた麻生首相は「私に答えられる限界を超えている」と発言していた。

これでは、与党として十分な責任を果たしているとは言えないだろう。

日米が合意した米軍普天間基地の辺野古への移設すら一向に進まない。もちろん、民主党政権の"迷走"や翁長知事の埋め立て承認取り消しなどの"暴走"はあったが、自民党の無作為についても責任は免れない。

無策の結果、北朝鮮は今年の1月に水爆開発につながると見られる4回目の核実験を行い、中国も南シナ海に人工島を建設し、ミサイルや戦闘機を配備しているなど、安全保障環境は悪化している。

こうした点から見ても、どの政党が「先見性」があるかは明白だ。

先が見えるということは、国を正しく導く力になる。国民の生命を危険にさらさず、国富を失わせないためにも、各政党の主張をよく検証する必要があるだろう。

(小川佳世子)

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