沖縄の反米感情が、高まっている。

沖縄県うるま市の女性会社員の遺体が見つかり、元米海兵隊員で米軍属の男が死体遺棄の容疑で逮捕された事件。

女性団体「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の代表らは20日、県庁で記者会見し、戦後、繰り返されてきた米軍関係者による犯罪に対して、怒りの声を上げた。テレビでは、「やっぱり基地はない方がいい」などという県民のコメントが紹介されている。

アメリカ人の子供が乗るスクールバスを取り囲む人々

沖縄在住の男性によると、現在、沖縄には、米軍基地の撤退を求める日本人が全国から集まり始めている。そして、アメリカ人の子供が乗ったスクールバスを囲んだり、米軍や軍属、その家族の車両であることを示す「Yナンバー」の車を止めて威嚇するなどして、大混乱に陥っているという。

このような事件を起こした犯人は、一生をかけて罪を償う必要があるだろう。今回、若くして亡くなった、女性の冥福をお祈りしたい。

「米海兵隊の犯罪率は低い」という数値

沖縄でこのような事件が起きると、「沖縄に米軍基地があるせいだ」という感情論が幅を利かせるが、ある興味深いデータがある。

このほど発刊された、東日本大震災のトモダチ作戦の立案に携わった、元在沖海兵隊幹部のロバート・D・エルドリッヂ氏と、幸福実現党・釈量子党首の対談本『一緒に考えよう! 沖縄』の中で、エルドリッヂ氏は「海兵隊の犯罪率は、実は低い」と指摘している。

「2014年では、沖縄の刑法犯の人口比率が0.24%であるのに対し、米軍関係者の刑法犯の人口比率は0.05%です。ですから、むしろ、米軍関係者の人口を増やせば、沖縄県の犯罪率を減らせるということになります」(エルドリッチ氏)

さらに、エルドリッヂ氏によると、海兵隊が罪を犯したときの刑罰は、日本の刑罰よりも厳しい。たとえば、強姦なら日本では懲役20年だが、米軍では死刑、もしくは終身刑になるという。

米軍関係者の犯罪率は相対的に低い上に、日本以上に厳しい刑罰があるのであれば、「在日米軍がいると、犯罪が増える」という指摘は間違いだ。

こうした事実を無視して、米軍人やアメリカ人に罵声を浴びせることは、「ヘイトスピーチ」や「人種差別」にあたるのではないか。

感情的な「米軍撤退論」に要注意

警察官の不祥事があったからと言って、「警察を失くせ」ということにはならないのと同じように、米兵の犯罪などのマイナス面ばかりに注目して、大局を見失ってはいけない。

現在、中国は、国営メディアを使って、「中国の明と清の時代には、沖縄は中国の属国だった」という沖縄領有論を展開している。沖縄の侵略を狙っているため、沖縄に米軍が駐留していることが、中国などに対する抑止力となるのだ。

中国や北朝鮮がミサイルなどで日本を脅している中で、もし、沖縄から米軍を撤退させたら、日本はすべて自力で防衛体制を築かなければいけなくなる。しかし、そうした体制はすぐにつくれるわけではない。

逆に、沖縄から米軍が退いて、中国軍がなだれ込んできたりしたら、それこそ、沖縄で、悲惨な事件があちこちで起きることは想像に難くない。

今回のような米軍関係者の犯罪に対して、しっかりと対処する一方で、こうした事件があったからといって、「やはり基地はない方がいい」という感情論に走ると、国そのものが危なくなる。

(小林真由美)

【関連書籍】

幸福実現党刊 『一緒に考えよう! 沖縄』 ロバート・D・エルドリッヂ×釈量子

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1667

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