アジア太平洋地域委員会(MOWCAP)の公式サイト

18日からベトナムのフエで開かれる、ユネスコ世界記憶遺産のアジア太平洋地域委員会(MOWCAP)の総会に、日本人専門家が初めて参加する。

MOWCAPとは、ユネスコに対して、資料の登録を申請できる組織の一つ。その申請を、登録小委員会や国際諮問委員会(IAC)が審議し、事務局長の最終判断で登録の可否が決まる。日本がMOWCAPに正式に参加するのは、1998年に設立されて以来、一回もなかった。

今回なぜ日本は参加を決めたのか。

昨年10月、中国の申請による「南京大虐殺文書」が、ユネスコ記憶遺産に登録されたのは記憶に新しい。だが、登録までの過程には、不透明な点が多く存在した。

まずは、今回日本人が派遣されるMOWCAPだ。現在、同地域委員会の議長を務めているのは、「南京大虐殺」の記憶遺産申請の主体となった中国・中央档案館の副館長でもある李明華氏だ。さらに、委員会のメンバー10人の内、半数を中国人と韓国人が占めている。

今回、MOWCAPへの日本の参加が決定したことは、記憶遺産の制度改革に向けての小さな一歩ではある。

しかし、まだ十分ではない。

その申請を審議するIACと、その下部組織である登録小委員会は、審議内容をすべて非公開にしている。どのような調査や議論に基づいて登録を決定したのか全く分からないのだ。「南京大虐殺文書」の登録をめぐっても、その審査過程は不透明なままだ。

制度の改革案として、審議の議事録をすべて公表したり、「南京大虐殺文書」のように、政治問題化する可能性がある事案については、当事者(国)間で議論をさせ、結論が出るまではその登録を見送るべきだ。

ただ、「南京大虐殺文書」が記憶遺産に登録された責任は、日本政府にもある。昨年、10月に行われたIACの「南京大虐殺文書」登録をめぐる最終審議において、委員の中から、「日本政府は南京大虐殺を認めている」という声が上がり、この発言が、登録の決定打となったという。

本来、「河野・村山談話」を打ち消すために発表すべきだった安倍談話が、結局、自虐的なものに終わってしまったことが、「南京大虐殺はあった」という嘘の資料をユネスコ記憶遺産として登録させる原因となったとも言える。

この失敗を教訓に、政府は安倍談話を撤回し、「南京大虐殺文書」の登録取り消しを、ユネスコに強く求めるべきだ。(貴)

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