ニューヨークに建つ国連本部。

国連・女性の地位向上委員会が、3月中旬に米ニューヨークで開かれた。その期間中に、元カリフォルニア大学教授の目良浩一氏と、元衆議院議員の杉田水脈氏らが、いわゆる従軍慰安婦問題の真実を訴える「Comfort Women Not Sex-Slaves(慰安婦は性奴隷ではない)」と題したイベントを開催した。

このイベントの中で行われた質疑応答の様子について、杉田氏は、産経新聞(6日付電子版)でこう述べている。

「『慰安婦記念館に展示されていた証拠が、慰安婦のおばあさんたちの証言が嘘だというのか?』 アフリカ系と思われる女性が必死に叫びます。我々がそれに答えて『慰安婦の証言はころころ変わる。まったく信ぴょう性がない』と答えると会場は大ブーイング。『70歳や80歳のおばあさんの言うことがその都度変わるのは当たり前じゃないか』と言い出す始末でまったく話になりません」

国連では、アフリカ系女性が語るような「慰安婦=性奴隷」という認識が定着している。そうした中で、正しい歴史を伝える保守系団体の活動は意義があることだ。

国連は「日本文化撤廃委員会」

女性の地位向上委員会の開催に先立ち、2月に開かれた女子差別撤廃委員会でも、国連は、慰安婦問題で日本への非難を強めた。これに対し、幸福実現党党首の釈量子氏は、現地に乗り込み、NGOの参加が認められた女子差別撤廃員会の席上でスピーチ。今月6日に発売された雑誌「歴史通」5月号の中で、次のように振り返っている。

「女子差別撤廃員会とは“日本文化撤廃委員会”なのです。それぞれの国柄、歴史、文化への無理解というだけでなく、もともと国連(United Nations=連合国)は戦勝国体制を維持する場であり、日本などの敗戦国が、国連憲章に反する行動をとった場合、国連決議に関係なく、軍事的に制裁しても構わないという『敵国条項』を持つ事実を、日本人は理解すべきです」

左翼の”気概”に負ける日本政府

日本を悪者にしておきたい国連は長らく、左翼系団体の活動の牙城でもあった。もともと慰安婦問題が世界に知られたのも、戸塚悦朗弁護士が、国連に属するありとあらゆる委員会や作業部会などに出席し、「性奴隷説」を広めたためだ。戸塚氏は自著で、「ウィーン世界人権会議とその準備会、北京世界女性会議とその準備会など参加した関係国際会議を数えるだけでも気が遠くなるほどの数になった」と振り返るほどだ。

そうした左翼の“気概”に比べ、日本政府の対応は心もとない。安倍政権は、河野談話を未だに踏襲し、元慰安婦に10億円を拠出する日韓合意を結ぶなど、国益を損ねる判断を繰り返している。これまでのところ、中国や韓国政府は反日的なトーンを弱めている。だが、慰安婦問題が終わったわけではない。自虐史観の根源である河野談話の見直しが求められる。

(山本慧)

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