中国・上海で開催されていた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が27日、閉幕した。

共同声明には、世界経済の減速を阻止するためにすべての政策手段を用いることが明記され、協調することを確認した。ただ、具体策は各国に委ねられるため、市場が安定化するかは不透明だ。

世界市場を混乱させる中国に批判

今回のG20で特徴的だったのは、中国に批判が集まったことだ。中国経済が低迷していることに加え、中国の株式市場や外貨管理の未成熟さが、世界市場を混乱させているからだ。経済への不安から、中国など新興国からの急激な資金の流出も起きている。

会議では、麻生太郎・財務相が「中国経済は、過剰設備や(不動産融資などの)過剰信用の問題がある」と、中国に人民元の安定化策を含めた構造改革を行うよう求めた他、ルー米財務長官も閉幕後の記者会見で、「中国は市場メカニズムに基づく為替改革が必要だ」と指摘した。

中国のジレンマ

しかし中国の構造改革はそう簡単にはいかない。利下げなどの金融緩和や財政出動を行えば、現在問題となっている過剰な生産をさらに増やすことになる。

また中国は、人民元を国際通貨として通用させるため、資本取引の自由化をしたいところだ。現在も人民元は、日本や欧米のように市場の為替レートで決まるのではなく、いくつかの通貨のレートを参考に中国当局が決める管理相場制をとっている。もし現時点で自由化してしまうと、急激な人民元安となって、世界経済が混乱するため、アメリカや国際通貨基金(IMF)も当面の規制を容認している状況だ。

「中国経済のハードランディングは不可避」?

こうした状況から、アメリカの著名投資家で、以前は中国の経済発展に肯定的な見方をしていたジョージ・ソロス氏も「中国経済のハードランディングは不可避」との見解を示している。ハードランディングとは、いわばバブルがはじけ、経済が冷え込むことだ。

中国はこれまで、お金があったから国内において国民の不満をおさえることができた。お金があったから、投資を求める国々から歓迎された。しかし、過剰な信用が崩れて経済が一気に冷え込めば、国内を治めることも、外交関係でも、前提が崩れる危険をはらんでいる。

しかし、この綱渡りの状況の中、中国は南シナ海への軍事進出を加速している。独裁的な政治体制が、経済の限界になっているという反省は、まったくないようだ。願わくば、中国共産党内部にそうした反省が生まれ、政治体制を変えて、国民の自由と幸福を大切にする国になってほしい。(泉/紘)

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