有線ラジオ放送最大手であるUSENの宇野康秀・代表取締役会長、都内初の民間人校長として大胆な学校改革を行った、和田中学校・元校長の藤原和博氏、そして、Jリーグの村井満チェアマン――。

いずれも各業界のけん引役として活躍中の人たち。

放送業界、教育界、スポーツ界と、皆業界はバラバラで、一見何も関連性がないようだが、一つ共通点がある。情報サービス業大手・リクルート出身である点だ。

同社の社是は「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」。

起業家精神あふれる社員が集まり、独立し自ら新規事業を立ち上げる例も珍しくない。

そうした「人材輩出企業」の創業者が、2013年2月に亡くなった、江副浩正元会長だ。

江副氏は東京大学在学時に、リクルートの前身となる大学新聞広告社を立ち上げ、就職や進学、不動産などの情報誌を刊行した。一代で同社を急成長させたことで、「ベンチャー企業の草分け」とも呼ばれる。

リクルート事件でマスコミの批判にさらされる

ところが、バブル成長期の波に乗り、順風満帆の経営を続けていた矢先の1988年、ある事件が起こる。

江副氏は、関連会社であるリクルートコスモスの未公開株を政治家などに譲渡した。それが賄賂罪に当たるとして、同氏は翌年逮捕され、懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を言い渡された。戦後最大の企業犯罪と言われる、リクルート事件だ。

ただ、これは当時の法律では問題がないことだった。

江副氏の企業家としてのたぐいまれなる手腕が、嫉妬の対象となり、マスコミに叩かれる原因になった形だ。奇しくも90年代に入ると、バブルがはじけ、日本経済の「失われた20年」が始まった。

「みんなに福を分けてあげようとした」

リクルート事件や日本経済について江副氏は何を思うか。

大川隆法・幸福の科学総裁は、2014年5月、江副氏の霊を招霊し、霊言を行った。その内容を収めた『リクルート事件と失われた日本経済20年の謎 江副浩正元会長の霊言』(幸福の科学出版刊)が、16日より全国で順次発売されている。

霊言の中で、江副氏は、未公開株の譲渡について、「 取引先のみんなにも、福を分けてあげようとした 」と、未公開株の譲渡は純粋な気持ちからのことだったと語っている。

しかしながら、リクルートの株が値上がり確実だったことが有罪につながったとして、「 『経営状態がいいことが罪に当たる』っていうことだから、これはマルクス主義だよなあ 」と嘆いた。

また、マスコミからの嫉妬について、「 『放っておけば、リクルート社に、新聞社やテレビ局まで呑み込まれていくんじゃないか』っていう恐れは、あったんじゃないかなあ 」と分析した。

本霊言は、マスコミ研究の必携の実用書となっている。リクルート事件が日本経済に残した傷跡や小保方事件との共通点、情報産業の未来など、政治経済を学ぶテキストとしても重要な論点がちりばめられている。

(冨野勝寛)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『リクルート事件と失われた日本経済20年の謎 江副浩正元会長の霊言』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1629

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