5月に開かれる「伊勢志摩サミット」に先立って、4月に広島市でG7外相会合が行われる。これに合わせ、アメリカやイギリス、フランス、カナダの外相が、広島の平和記念公園を訪問する予定だ。

伊勢志摩サミットの外相会合は、4月10、11日に広島市で開かれる。北朝鮮が核実験と長距離弾道ミサイルの発射を強行する中、アメリカやイギリスなどの外相が、広島・平和記念公園を訪問し、「核不拡散の重要性」を世界に発信する。ケリー国務長官は、アメリカの閣僚として初めて平和記念公園を訪れることになる。

日本は、参加が未定のドイツとイタリアの外相にも訪問を呼びかけており、主要国の閣僚が平和記念公園から核不拡散の意義をアピールし、北朝鮮に対する国際社会の強い懸念と批判姿勢をアピールすることが狙いだという。

説得力の弱い「懸念と批判姿勢」

とりわけ、アメリカの外交を担う国務長官が、平和記念公園に初訪問することは大きな成果になるだろう。

原爆投下は人類への罪であった。アメリカは戦前や戦中、人種差別も相まって、台頭する日本を「悪」と決めつけ、戦争終結のためには必要のない原爆を落とした。

だが戦後、ソ連や中国・北朝鮮が軍事大国化して、国際社会の平和と安定を脅かしてきた状況を見れば、日本を叩いたアメリカが間違っていたことは明らかだ。反省すべき時が来ている。

しかし、外相の平和記念公園の訪問によって北朝鮮への批判姿勢を示すだけでは、暴走する北朝鮮を食い止める決め手にはならないことも予想される。

アメリカなどの国連常任理事国が、核兵器の保有を認められているのは、「先の大戦の戦勝国だから」という理由以外に、納得できる根拠がない。また、「自分たちは核兵器を持っていながら、他国には禁止する」という理屈も、説得力が弱いだろう。

平和実現の有効な道は?

平和運動と言えば、イギリスの平和運動が盛り上がりを見せた同時期に、ドイツではヒトラーが政権を獲得した。その後、ヒトラーは、オーストリアを併合して、ズデーテン地方の割譲を要求したことに対して、宥和政策で応えたのがイギリスのチェンバレン首相だ。

これによって、世界は第2次世界大戦へと突入していった。平和運動や宥和政策は、侵略意図がある国に対しては無力なのだ。

現実に核兵器を使う可能性のある北朝鮮を抑えるために行うべきは、国際的に、武力や抑止力を伴う「北朝鮮包囲網」を築くことである。

この観点は、常任理事国で核兵器を持ちながら、侵略的な動きを見せている中国に対しても必要だ。核を持つか否かという視点だけなく、「その国が侵略的意図を持っているかどうか」という点も合わせて考えなければならない。

(HS政経塾 表奈就子)

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