中国人民解放軍の戦区成立大会がこのほど、北京で行われた。人民解放軍は、これまで、瀋陽、北京、済南、南京、広州、成都、蘭州の7つの軍区に分かれていた。今回の改編により、5つに統合され、名称も「軍区」から「戦区」に変更された。

では、今回の改編により、何が変わったのか。

軍区から戦区への改編は、戦争を想定したもの

1日付の産経ニュースによると、各戦区は以下のような意味合いがあるという。

  • 東部戦区……本部は南京。日本や台湾方面の有事に備える戦力。

  • 南部戦区……本部は広州。南シナ海やシーレーンの安全を守ることを想定した戦力。

  • 北部戦区……本部は瀋陽。主にロシアと北朝鮮方面で軍事衝突などが起きることを想定した戦力。

  • 西部戦区……本部は蘭州。中央アジアなどのイスラム過激派のテロ活動などに備える戦力。

  • 中央部戦区…本部は北京。首都周辺の安全を守るための戦力。

この状況から、習近平国家主席が、戦争を意識していると見た方が良さそうだ。

1日の大会で、習氏は、「戦争ができ、戦争に勝てる強軍目標の実現に重大な意義がある(中略)各戦区には平和を維持し、戦争に勝つ使命がある」と強調した。

各戦区に「仮想敵国」があるように、軍区から戦区への改編は、戦争を想定したものということが分かる。

「悪を犯させない体制づくり」が急務

今年に入り、「ロケット軍」や、サイバー攻撃・宇宙空間の軍事利用を担う「戦略支援部隊」を創設した。また同時に、陸軍を海軍・空軍と同列の扱いとし、中国共産党が、直接、作戦指揮を行えるようにした。これにより、習近平政権の統制力はさらに高まった。

中国は、日本の尖閣諸島を中国領だと言い張り、フィリピンやベトナムとの間でも南シナ海の島々の領有権を主張している。今回の軍改革を含め、中国の軍拡は、未来に起きるであろう、いや自ら起こすであろう戦争を想定して、着々と準備を進めていると見るべきだ。

こうした中国の動きに対し、日本は東アジアの平和と安全を守るために、日米同盟を基軸として、防衛面・経済面において、ロシアやインドのほか、台湾や東南アジア諸国と協力しながら、「中国包囲網」づくりを急ぐ必要がある。

「悪を犯させない体制」を速やかに構築することが、中国の暴発を抑止する。

(HS政経塾 水野善丈)

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