日銀が、国内の金融政策で初めてとなるマイナス金利の導入に踏み切った。

大川隆法・幸福の科学総裁は、沖縄コンベンションセンターで行われた大講演会「真実の世界」において、マイナス金利政策の過ちについて触れた。

日銀の意図は市場にお金を流すこと

通常は、お金を借りた側が利子を払うが、マイナス金利はこの逆となる。お金を金融機関に預けている側がお金を払わなくてはならなくなって損をするため、預けるのをやめて積極的に使おうとする流れができる。

現在、民間銀行は日銀に必要以上にお金を預け、金利で稼いでいる状況がある。そのため、日銀は必要以上に預けられたお金にマイナス金利を導入し、市場にお金を流そうとした。

アベノミクス「3本の矢」の1本目、金融政策の一層の拡大を目指したものと言える。

「これは資本主義の精神を傷つけている」

大川総裁はこうした日銀の意図に理解を示しつつも、「 ある種のミニバブルを起こしてみんなを幻惑しようとしている 」「 短期的な選挙対策にはなるかもしれないが、長期的には日本の経済的発展を傷つける行為 」と語った。

実際に市場にお金があふれたとしても、適切な貸出先がなければ、民間銀行は国債か企業の株を買うことになる。そうなれば、国債は消化しやすくなり、一時的に株価は上昇する。経済指標は上向き、景気がよくなったように見えるだろう。

だが、大川総裁は「 最終的に、経済学的に見た場合は間違っていると言わざるを得ない。これは資本主義の精神を傷つけているから 」と苦言を呈した。資本主義の精神は、二宮尊徳の説いた「積小為大」という考えに現れている。すなわち、小さな資本を積み立てて大きくし、経済規模を大きくしていくということ。マイナス金利は、「貯めたら損をする」ため、この考え方とは真逆となる。

大川総裁は「 資本の蓄積ができなくなると、もっと大きな事業をやって大きな利益を上げたり大きな経済規模を作っていく方向に動かない 」と警告した。

やはり一時的であったとしても、自由経済の原理原則を外した方法を選ぶべきではない。そもそも8%への消費税増税が間違いだった。増税などせず、アベノミクスを当初の予定通り3本セットで行っておけば、マイナス金利の導入は必要なかっただろう。

「お金を借りてでも使いたい」環境を整える

今なすべきは、企業や国民が「お金を借りてでも使いたい」と思えるような環境を整えることだ。具体的には、リニア新幹線の早期整備や航空・宇宙産業などの新しい基幹産業の育成を進めること、徹底的な規制緩和により民間の経済活動を活性化させることなどが挙げられる。もちろん消費増税など論外であり、むしろ減税して先行きを明るくすることが大事である。

これらの政策は、アベノミクスの元となった幸福実現党の経済政策にすでに示されている。

幸福実現党の経済政策は、自由な環境を整えて民間の力を引き出し、経済成長を目指すという考え方に貫かれている。

安倍政権が「政府の経済政策で景気は左右できる」などと考えているならば、ますます日本経済の見通しは暗くなってしまう。間違っても今回のマイナス金利で経済指標を上向かせ、消費増税の根拠などに使わないよう願いたい。(佳)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『資本主義の未来』 大川隆法著

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幸福の科学出版 『創造する頭脳』 大川隆法著

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