中国国有の海運大手・中国遠洋運輸集団(コスコ・グループ)が3~4億ユーロ(約380億~510億円)をかけ、ギリシャ最大のピレウス港の国営運営会社の株式51%を取得する見通しだ(13日付日本経済新聞)。

ピレウス港は、欧州の中から見ても大型港の一つ。欧州やアフリカに物資を運ぶための地中海の要衝でもある。

中国遠洋は2009年、ピレウス港の35年分の埠頭運営権を取得していたが、運営会社を買収することで、正式に「中国の拠点港」となる。

経済・軍事面での拠点に

中国はこの港を通して、経済的にも軍事的にも、欧州やアフリカへの進出を進める狙いだ。

経済面では、習近平国家主席らが進める「一帯一路構想」の拠点として用いる。中国からの輸出品をこの港に集め、欧州や中東へ鉄道で輸送する。欧州の港を用いるよりも、1週間以上早く運べるという。

軍事面では、中国海軍の補給基地として利用する。実際、昨年2月には、中国海軍最大の大型揚陸艦が寄港している。

中国はギリシャ以外のトルコやセルビア、ハンガリーなどといった中東欧の国々でも、こうしたインフラ投資を着々と進めている。

ギリシャは自由を失ってもいいのか?

中国進出を許していると、これらの国々は、気づかぬ間に中国の「半属国」になっている可能性は十分ある。「経済的利益が大きい」と見ているのだろうが、それと引き換えに「自由の死」をもたらすことを警戒するべきだ。

中国には、言論の自由や思想・信条の自由がない。中国政府の意向に背く者は拘束されて拷問を受けたり、殺されることもある。こうした国の影響力が自国に、そして周辺国に拡大することが、果たして望ましいのか。経済のみならず、正義の観点からのチェックも必要だ。

日本にとっても、対岸の火事ではない。昨年末、中国軍艦が尖閣諸島の領海に侵入したり、千葉県の房総半島沖近くで反復航行を行っている。これを受けてか中谷元防衛相は12日、尖閣諸島の領海に中国軍艦が侵入した場合、自衛隊が対応すると発表したが、これは当たり前のことだ。

中国が食指を伸ばしている欧州や中東欧、アフリカの国々は、もっと中国に対して危機感を持つべきだ。また日本とアメリカも危機感を新たにし、これらの国々との協力関係を強め、中国包囲網を強固にする必要がある。

(山本泉)

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