「ゴゴゴゴゴ」という音がして、怖くて眠れない――。

年明け、インターネット上では、関東中心で「地鳴り」を聞いたという声が多く報告され、話題になっている。

こうした現象は、「宏観現象(こうかんげんしょう)」と呼ばれる。科学的な因果関係は分かっていないが、広い意味で地震の前兆と言われる現象だ。

「犬が暴れる」も研究対象

こうした前兆現象は、世の中的にも「迷信」では片付けられてはいない。

民間の専門家も、市民から前兆報告を収集して分析している。高知県では、南海トラフ巨大地震への対策として、前兆現象をファックスやメールで募集するなど、公的機関が募集する例もある。

(参照:高知県庁ホームページ・宏観異常現象について

http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/010201/koukanijyougensyou.html )

「犬やネズミが暴れる」「空が赤く染まる」「地震雲」「井戸の水位が上がる」「ふろのふたにアリが集まる」「空が怪しく光る」。どれも報告対象だ。

地震の前兆に関する言い伝えは、歴史的経験則とも言える。科学の仮説となりうるため、迷信と片付けることはできない。その仮説を検証するには、多くのデータを集めなければいけないため、多くの専門家が"怪奇現象"の事例を募っている。

地震は、宇宙の出来事などに比べれば、よほど生活に密接した自然現象だ。前兆現象も、古くから報告されてきたもの。しかし、地面から下のことは観察しにくいためか、研究は進んでいない。

地震発生のメカニズム自体、謎だらけ

「前兆現象」以前の問題として、地震発生のメカニズムさえも謎が多い。

私たちの多くは「プレートのズレが地震を起す」と学校で習った。しかし、そのタイミングについては未解明のことばかり。

「大きくプレートが歪んでいる場所でなかなか地震が起きない。しかし、さほど歪んでいない場所で地震が起きる」。こんなことが多いそうだ。

輪ゴムを強く引っ張れば、いつか切れて手を打つことは分かる。しかし、どのタイミングでゴムが切れるのかは分からない。私たちにとってはそのタイミングこそ重要なのだが……。

様々な専門家が行う地震予知の確度も高くないため、「地震予知なんて、占いといい勝負」と思う人もいるかもしれない。

「地震=人間への警告」も研究対象となる仮説の一つ

このように未解明なことばかりの地震だが、大規模な場合や、あまりにも頻発する場合は、「世の中が乱れている」というのが、昔は世界各地の常識だった。

キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の聖典である『旧約聖書』、イスラム教の『コーラン』、仏教の『法華経』『金光明経』、中国に伝わる「易姓革命」の思想――。

東西で、「政治や人心の乱れが大災害を引き起こす」という思想が見られる。

もちろん「各文明につながりがあったから」「人間は未知な現象を宗教に求めたいもの」と片付けたい人もいるかもしれない。

「地球は巨大な生命体なのではないか」と考える「ガイア理論」といった考えもあるが、人間社会に対する、何らかの"嫌悪感"や"警告"が、災害に関連があるという発想もあり得る。「地鳴りが地震の前兆」と考えることと同様、検証する価値の十分ある仮説だろう。

こうした可能性を否定できるほど、科学では地球のことはまだ解明されていない。

(馬場光太郎)

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