とうとうマイナンバー制度が1日からスタートした。

国民全員に12ケタの共通番号が割り当てられ、税金や社会保障の手続きなどで使うことになる。源泉徴収票への番号の記入が必要なため、すでに職場から番号の提出を求められている人も多いはずだ。

企業も自治体も混乱

この制度をめぐって、混乱が広がっている。

産経新聞は1日付の1面で、「マイナンバー 運営システムに欠陥」の見出しで、東京都葛飾区のマイナンバー通知カード約5千世帯分が作成されていなかったのに、システム上では「正常終了」と認識されていた問題を報じている。すでに誤りは修正されたというが、番号が通知される前からこれでは先が思いやられる。

また、毎日新聞も同日付の紙面で、アルバイトを大量に雇う企業が、源泉徴収票のために短期も含めたアルバイト従業員の番号を集めなければならず、その収集と管理に追われる様子や、番号を通知するカードが約1割返送されてきて混乱する自治体の様子を報じた。

こうした状況を見れば、マイナンバー制度は、余計な仕事を増やし、企業や自治体が本来顧客や住民に提供すべきサービスに集中できない状況をつくり出していることがわかる。

銀行口座と関連付けられれば財産が丸裸

1日から利用が開始された分野は、「雇用保険や健康保険に関する書類」や「税務当局に提出する申告書・法定調書」などだ。

もっと問題なのは、今後導入が検討されている分野。「銀行口座開設」や「車の購入」の手続きなどに加え、「クレジットカード」「運転免許」「健康保険証」と関連付けることが検討されている。

すでに「預金口座」などへの「利用範囲を拡大する法改正」が行なわれており、2018年から施行される。当面は銀行口座開設時のマイナンバーの提出は任意とされているが、政府は脱税などを防ぐため義務化も検討している。

この制度がどんどん広がっていけば、個人の財産、趣味趣向、健康状態など、あらゆる情報を政府がつかめるようになる。番号ひとつで一人の人間を"丸裸"にできる、ソ連のスターリンもびっくりの監視社会だ。

そんな社会の到来を防ぐためにも、また、国民の自由と尊厳が守られ、進んで税金を納めたくなる日本にするためにも、声を上げていかなければならない。

(大塚紘子)

【関連ページ】

「マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名」(幸福実現党ホームページ)

http://info.hr-party.jp/2015/5007/

【関連記事】

2015年12月1日付本欄 「マイナンバー制度は違憲」弁護士ら全国で訴訟 リスクがありすぎる制度

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