朝日新聞1月18日付によれば、埼玉県の市立小学校に勤務する女性教諭が、担任する学級の女子児童の両親から再三“クレーム”を受けて不眠症になったとして、この両親に慰謝料500万円を求める訴訟を起こしていたことがわかった。文部科学省は、「保護者が学校を訴えるケースはあるが、その逆は聞いたことがない」としているという。要約抜粋すると、

・昨年6月、教諭は女児と他の女子児童との「いさかいを仲裁」した際、母親から電話で「相手が悪いのに娘に謝らせようとした」と非難された。以後も連絡帳に母親から「先生が子供を傷つけている」と書き込まれたり、文科省や市教育委員会に文書などで「批判」され、女児の背中に触れただけで暴行容疑で警察に被害を訴えられたという。

・こうした一連の行為により教諭は不眠症に陥り、「教員生活の継続に重大な支障を生じさせられた」と主張している。

・小学校側は市教委に対し、「モンスターペアレンツに学校や教師が負けないようにし、教諭が教員を代表して訴訟を行っていると受け止めている」という校長名の文書を提出している。

・両親は同紙の取材に対し、「娘は担任教諭から、ほかの児童の前で数十分間しかられるなど差別的な扱いを受けた。学校側も実態を調べないで自分たちをモンスターペアレンツに仕立て上げた」と話している。

最近は保護者のなかに非常識な人たちがいるのも事実だが、教育アナリストの戸田忠雄氏は、かつてリバティ本誌で「税金を出して学校に子供を出している保護者のことを『モンスター』とはなんですか。教員は税金で雇われているんです。雇われているほうが雇っているほうを怪物呼ばわりするなんてとんでもない」と述べている。( http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=490 )。

これが学校でなく企業活動なら、「モンスターカスタマーによって不眠症に追い込まれた」などとして会社や社員が顧客を訴えるということは、およそ考えられない。たとえクレームが理不尽なものでも、然るべき対応をしなければ会社の信用を損なうし、そもそもそれほどのクレームを寄せられるような自分たちの仕事レベルに問題はないかと振り返るのが筋だ。公立学校や教員が、組織としての仕事レベルやクレーム処理において一般社会とはズレた感覚を持っていると感じたことのある人は多いだろう。少なくとも、教室で何が起き、学校側に問題はなかったかが明らかになるまで、親を文書で「モンスター」呼ばわりするのは不適切ではないか。(T)

【関連記事】2008年10月号「ゾンビ教師から子供を守れ!」 http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=560

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