福井県高浜町の野瀬豊町長は、町議会で町内にある関西電力高浜3、4号機の再稼働へ同意を表明した。今後は福井県知事と県議会の判断が焦点となる。

福井県知事の西川一誠氏は、町議会での決定を受けて「町の皆さんの考えが一番重要で、十分承ることが大前提だ」と発言した。県議会の過半数を占める自民党県政会は容認の方向と見られ、再稼働を求める決議案に、同意する可能性は高いという(4日付福井新聞電子版)。

高浜原発が再稼動に進む一方、不安要素もある。今年4月、福井地方裁判所が高浜原発再稼働に「差し止め仮処分」の判断を出している点だ。ただ、西川知事は「司法手続きと行政手続きは別系統のもの」と主張しており、仮処分の決定に関係なく判断すると見られる。

現在、鹿児島県川内原発の1、2号機が稼働している。続いて、愛媛県の伊方原発が今年10月に中村時広愛媛県知事が再稼働に合意し、年明け以降の再稼働を目指している。このような原発再稼動に向けた動きを歓迎したい。

中村知事は伊方原発を容認するに至った理由として、伊方原発の安全性をあげた。福島第一原発事故の原因については津波による冷却装置の電源喪失だったと指摘。「伊方原発の場合、福島原発と同じことは起きない」と強調した。

また、「日本は自国でエネルギー資源をまかなえない」「四方を海に囲まれており、送電線を通じて他国から電力を買うことができない」として、日本のエネルギー自給の問題についても言及。その解決策として原発再稼動が有効であると述べている。

だが、このような「原発を止めるリスク」については、マスコミではほとんど報道されない。

中村知事が言及したように、現在、日本のエネルギー自給率は、わずか4%だ。日本の発電の大部分は火力発電だが、原料となる原油は8割以上が政情不安定な中東からの輸入である。そのため、今後の国際情勢の悪化で、原油価格の高騰や原油の供給が滞る恐れがある。また、日本への原油輸送ルートは中国の軍事基地建設で揉める南シナ海を通るため、多くのリスクを抱えているのだ。

このように、国際戦略を考慮すれば、エネルギー自給率の低い日本にとって、国内で電力を供給できる原発はとても重要である。原発ゼロのリスクと原発再稼動のリスクを冷静に見比べて国民が幸せ暮らしていけるよう正しい判断を下していくことを望みたい。(HS政経塾 油井哲史)

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2015年12月号記事 原発ゼロは安全か!? 「再稼動遅れ」の4大リスク

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2015年6月号記事 差し止め判断は司法の「メルトダウン」 原発再稼働に横やり - The Liberty Opinion 5

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