米航空宇宙局(NASA)は去る3月、木星の月エウロパに探査衛星を送る計画を発表した。

しかし、科学雑誌「ARS Technica(ARS テクニカ)」に掲載された記事によると、2012年に無人探査機「キュリオシティ」を火星に着陸させた技術者たちが、エウロパへの着陸も秘密裏に検討しているという。

地球外生命体は見つかるか?

エウロパは氷の表面を持ち、摂氏マイナス210度という極寒の世界。しかし、氷の表面の下に、地球の倍の量の水が眠っている可能性があるという。

2020年代に送り込まれる探査衛星は、木星の衛星軌道上を周回しながらエウロパに近づき、搭載されたセンサーを使って、氷の厚さや、内部の水が生命の存在に適したものかどうかを調査する。

また、表面の氷の一部には割れ目があり、内部の水が剥き出しになっているため、もし探査機をこの割れ目付近に着陸させることができれば、エウロパの海をより精密に調査できるのだ。

NASAが興味なくとも、政治家が興味を持っていた

奇妙なことに、NASAは当初、エウロパの探査にさほど関心を抱いていなかった。すでに太陽系の多方面に探査機を送り込んでおり、新しい計画にかかわっている暇がなかったのだ。実際、NASAは現在、火星への無人探査機着陸や、準惑星ケレスと冥王星への無人探査機の派遣など、大規模な計画にかかりっきりだ。

しかし、米下院予算委員会の委員長ジョン・コルバーソン下院議員は、エウロパ探査に個人的な興味・関心を抱いていた。彼は、NASAに半ば無理矢理エウロパ探査計画を作らせ、予算を割り当てたのだ。

同誌によると、コルバーソン議員は、「実現のために必要なことは何でもやれ。氷の下に何があるかは、全人類が知りたいことだ」と、前向きに語っていたという。

宇宙開発には莫大なお金がかかる。エウロパ探査計画には、探査衛星だけで約20億ドル(約2400億円)かかる見込みだ。

そのため、国の政策として宇宙開発に取り組むのであれば、国民や政治家の理解と協力が必要不可欠である。

今後、日本が本格的に宇宙開発に乗り出す際にも、官民両方の理解が必要になってくるだろう。(中)

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