東日本大震災の犠牲者と遺族が再会した「不思議な体験」について、東京都に住むジャーナリストの奥野修司氏が被災地で取材している。亡き人の霊や魂の存在を感じた体験が、寂しさや悲しさに沈む遺族に安らぎをもたらすケースが多いという。このほど河北新報電子版が報じた。

奥野氏がこれまでに取材した遺族は、約20人に上る。記事によれば、小学生の子を失った母親は、亡き子の歩き方にそっくりの足音を聞き、その音を家族全員が確認したエピソードや、兄の死亡届を書いた妹の携帯電話に「ありがとう」と兄からメールが入った話、行方不明の夫が発見された後、就寝した妻の布団に何かが入り込み、夫だと直感したというエピソードも紹介されている。いずれも遺族は、こうした不思議な体験に遭遇した時、「亡くなった家族が励ましてくれている」と肯定的に受け止めているという。

しかし、中には「墓は作りたくない。いつまでも成仏してほしくない」と、子の霊の出現を願い続ける母親もいる。家族の魂と再び巡り合った喜びを感じる人もいれば、こうした体験を周囲に理解してもらえず、苦しむ人もいるという。

記事では、霊がいる、いないは関係なく、遺族の霊体験に耳を傾けることが大事としているが、やはりそれだけでは、本当に悲しみが癒されることはないのではないか。

震災などで亡くなった人の魂はどこへ行くか