北朝鮮がこのほど、朝鮮労働党立党70周年を祝う軍事パレードを開催したことを、主要各紙が報じている。

金正恩第一書記は、「我が軍は、米国の帝国主義者たちが望む戦争に対応する準備ができている」と演説した。

終わらない朝鮮戦争

金一族の一党独裁に支配される北朝鮮と、民主主義国の韓国。片方は恐怖で人民を支配し、体制が危険視する市民は強制収容所に送られる。もう一方は資本主義制度を導入し、アジアを代表する近代国家の一つと言われている。

同じ民族でありながら全く違う選択をした両国は、1950年から53年にかけて朝鮮戦争を戦った。決着はつかず休戦に至ったが、正式な平和条約は結ばれなかったため、両国はいまだに「戦争状態」にある。

しかし、休戦から70年、南北朝鮮の国力にはっきりとした差がつき、韓国を支援するアメリカの力も考慮した場合、戦争が再発したら北朝鮮に勝ち目はないと言える。

進む核開発

その差を埋めるために、金一族率いる北朝鮮は核兵器の開発に勤しんできた。現在、北朝鮮は数発から数十発の核兵器を所持していると言われている。

また、今回の軍事パレードで、12000キロの射程を持ち、アメリカまで届く「KN-08」大陸間弾道ミサイルが公開された。問題は、北朝鮮が核兵器を小型化し、このミサイルに搭載する技術を持っているかどうかだ。

朝鮮戦争が再発し、北朝鮮が長距離ミサイルに搭載可能な核兵器を持っていた場合、韓国やアメリカも及び腰な対応しかできなくなるかもしれない。追い詰められた北朝鮮が、核を使用する可能性があるからだ。

北朝鮮の核兵器を話し合いで廃絶する試みもあった。軍事パレードには、中国共産党でトップから5番目に相当する地位を持つと言われる、中国共産党中央政治局常務委員の劉雲山氏が出席した。両国の関係を深めるとともに、「北朝鮮の核兵器を巡る6カ国協議を再開すべし」という見解を述べた。

しかし、6カ国協議は2003年から6年間協議を重ねた結果、何の成果も見られなかった。今となっては、この6カ国協議そのものが、北朝鮮が核兵器を開発するための時間稼ぎでしかなかったことは明白だ。

もはや、北朝鮮が自主的に核兵器を手放すことはないと考えざるを得ない。東アジアに対する北朝鮮の脅威を絶つには、多少の犠牲を払い、軍事力を持って北朝鮮の「核兵器狩り」をするか、核兵器を無効化する技術を開発しつつ、金体制が崩壊するのを待つぐらいだろう。

日本には、東アジアの平和を守るだけでなく、北朝鮮を平和裏に崩壊させて、積極的に平和をと安定を広めるための力をつけなければならない。宇宙産業や防衛産業を発達させ、友好国と同盟関係を築き、有事の際に自衛隊が動ける法制度を設ける必要がある。(中)

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