アメリカ・カリフォルニア州のサンフランシスコ市議会で22日、慰安婦碑(像)の設置を支持する決議案の採決が行われ、全会一致で採択された。同市では、反日中国系団体などが公共スペースに慰安婦像を設置する計画を進めている。今回市議会の"お墨付き"がもらえたことで、具体的な話が進むと予想される。

決議案は今年7月に市議員11人中8人が共同提案し、エリック・マー市議が代表で提出した。その中では慰安婦を「日本軍によって拉致され、性的奴隷の扱いを強要された20万人のアジアの少女や女性」と説明している。直ちに像や碑が設置されるわけではないが、マー市議は「今後1年以内にロサンゼルス近郊のグレンデールのように慰安婦像が設置出来ることを望む」と述べた。

中国系団体による大都市の慰安婦像設置案は全米初の試み

サンフランシスコは中国系の移民が多く、市長も中国系だ。2009年頃からニュージャージー州、ニューヨーク州、カリフォルニア州などの郊外に設置された慰安婦碑(像)は主に韓国系団体主導で行われたが、もし今回設置に至れば、アメリカでは中国系団体による初めての設置となる。また、これまでの慰安婦の碑や像の設置場所は州の郊外が多く、サンフランシスコのような大都市の中心部で設置が推進されるのも初めてだ。

市議会本会議や委員会で17日に開かれた公聴会では、賛成・反対派合わせて100人以上がスピーチした。韓国から訪米した"元慰安婦"と自称する李容洙(イ・ヨンス)氏は「日本政府は嘘をついている。正式な謝罪はもらっていない」と日本側を批判した(18日付産経新聞)。マー氏は22日の市議会でも「彼女(元慰安婦)は歴史の証人だ」などと何度も訴えた。

中韓勢力に対して日系人が証拠を出して反論するも……

地元の日系人らも公聴会で発言し、「慰安婦として強制動員されたという証拠が不十分だ」「現地で暮らす日本人への差別につながる」と設置への反対を表明した。

参加した在米日本人によると、この反対派の日本人の一人は、サンフランシスコ州立大学のサラ・ソー教授の『The Comfort Women』という本で、李氏が朝鮮の慰安婦の斡旋業者に友人と誘われて行き、「そこで赤いドレスと革靴をもらって大いに喜んだ」と証言していることに言及し、最近の主張と矛盾していることを指摘した。

さらに、反対者が慰安婦は職業として売春をしていたと言うと、李氏本人が、車いすから立ち上がって反対派を怒鳴りつけ、場を騒然とさせたという。すべてのスピーチが終了後、まるで会議の結論であるかの如く、デヴィッド・カンポス市議は「民主主義であるから自由に意見は言えるが、事実を否定する人は恥を知りなさい」と繰り返し発言した。サンフランシスコ市議は全面的に中韓側につき、反対派の主張が考慮されることはなかったという。

サンフランシスコ市に慰安婦像が設置されれば、住民や観光客への影響は大きく、戦時中の日本軍の行いの誤ったイメージが世界中に広まりかねない。韓国は"慰安婦の証言"以外、明確な証拠を出さずに「日本軍は慰安婦を強制連行した」と主張している。日本政府は歴史的事実を無視し、韓国の主張を事実上認めた「河野談話」を発表。中国・韓国系団体は国際的なロビー活動を続け、事実と異なる主張で日本の名誉を傷つけている。日本政府は正しい歴史認識を広めることを民間任せにせず、断固反論すべきだ。(真)

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