参院の特別委員会で可決された安全保障関連法案について、自民などの与党は、18日の参院本会議で同法案の採決に踏み切る。本法案は賛成多数で成立する見通しだ。

中国の軍拡などの安全保障環境に対応するという意味では、本法案の成立は歓迎すべきことだ。しかし一方で、「良識の府」と称される参議院で、民主党などの野党側が暴力まがいの抵抗を見せた。参議院の看板に泥を塗る形となり、後味の悪いものとなった。

ダイブした民主党議員も

17日、参院の特別委員会で本法案が採決された際、民主党の小西洋之氏は、審議を阻止するため、鴻池祥肇(こうのいけ・よしただ)委員長にめがけて、後方からダイブした。

同氏は自身のツイッターで「私は、本気で違憲立法を阻止するため、委員長の手元の議事次第を確保に行きました」としているが、目的のために手段を正当化する姿勢はいただけない。

これまでにも野党は、安保法案を「戦争法案」などとレッテル張りをし、国民の恐怖心を煽ってきた。そこには、来年の参議院選挙を見据えた国民へのアピールという面があることは想像に難くない。だが、果たして、その目論見はうまくいったのか。

野党の支持率上がらず

一連の騒動に先立ち、NHKは9月11日から13日にかけて世論調査を実施していた。

それによると、民主党の支持率は、8月の10.9%から9.8%に低下。同じく、法案に反対した共産党は4.2%から4.0%に、社民党も0.7%から0.6%に、それぞれ微減となった。

一方の自民党は34.3%から34.7%に微増。13日に開票された山形市長選でも、与党が推薦した佐藤孝弘氏が勝利している。

本法案が採決される以前に、国民は「反対のための反対」を繰り返す野党の姿勢に対して、うんざりしていたのではないか。

国会前で飛び出す暴言のオンパレード

さらに国会前で行われた安保反対デモにも問題があった。「良識」ある人であれば、その参加者から飛び出た発言が、いかに暴力的であり、安倍首相への個人攻撃であるかを理解するだろう。以下、問題発言を一部紹介する。

  • 「(安倍首相に対し)お前は人間じゃない」(法政大教授の山口二郎氏)
  • 「(安倍首相に対し)バカか、お前は」(学生団体「SEALDs」代表の奥田愛基氏)
  • 「権力者の頭にくぎを打つことが民主主義だとするならば、私たちは安倍の頭にくぎを打たなければならない」(作家の佐高信氏)
  • 「安倍晋三首相は史上最悪の首相だ」(社民党の吉田忠智党首)

いくら言論の自由が認められているとはいえ、何を言ってもいいというわけではない。一部の安保反対論者は、それぞれの意見を尊重するという善意に立つ「民主主義の精神」を冒涜している。野党陣営は、国民をミスリードしてきた言動を猛省すべきだ。(山本慧)

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