ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は8日、これまで長い時間と費用がかかっていた教会の「婚姻無効」の手続きを簡略化すると発表した。9日付各紙が報じた。

離婚が認められていないカトリック教会

カトリックのキリスト教会には、「神が導いた結婚なので、永遠に別れてはいけない」という教えがあり、民法上の離婚を認めていない。だがカトリック信者が数多くいる先進国では、離婚はもはや珍しいことではないのが現実だ。

カトリック信者が離婚するには、多額の費用をかけて数年にわたる教会裁判所の審査を受け、婚姻の無効を認めてもらう必要がある。無効が認められないまま再婚すると、"姦淫罪"とされ、一部の宗教儀式に参加できない。こうした厳格な制度が、カトリック信者の教会離れを引き起こしている。

ちなみに、イングランド国教会の成立の背景に「離婚問題」があったことは有名だ。王のヘンリー8世は、王妃の侍女と再婚するために、ローマ・カトリックの教皇に王妃との「婚姻の無効」を宣言するよう頼んだ。しかし、教皇は王妃側と政治的な関係があったために、王の頼みを却下。このことをきっかけに、ヘンリー8世はカトリック教会から離脱し、イングランド国教会を成立させたのだ。

法王は寛容を説き信者のカトリック教会離れを引き留めたい

法王は、教会から離れていく人がこれ以上増えないようにと、寛容を説くさまざまな改革を行っている。

たとえば2014年10月には、「教会は同性愛者や離婚した信者を歓迎し、尊重すべき」という文言がローマ教皇庁から出された。また2015年9月に法王は、「中絶を悔い改める女性信者に許しを与える」ことを神父らに認めると表明し、世界中の関心を集めた。今回の改革については、婚姻の無効化の検討委員会のピオ・ビト・ピント枢機卿が「過去300年で最大の改革」と述べている(9日付AFPニュースより)。

イエス・キリストが今のクリスチャンに望むこと

大川隆法・幸福の科学総裁の著書『イエス・キリストに聞く「同性婚問題」』の中で、キリストの霊は、現在のキリスト教会について次のように述べている。

(今の教会制度は)私がつくったものではないのです。私が『このようにローマ法王を続けていけ』というようなかたちで組織をつくり、規則を決めたものではありません。(中略) 残された者や、あとから弟子になった者たちの意志によってできた部分があるのです

今回の改革された「婚姻無効」などのルールは、イエスが説いたものではなく、イエスの死後に弟子が作り出したものだ。キリスト教の慣習の中で「変えるべきもの」と「変えるべきでないもの」を分け、時代に合わせて進化させていく動きは、今後ますます加速するだろう。キリスト教会も、イノベーションが必要な時期に来ている。(真)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『イエス・キリストに聞く「同性婚問題」』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1004

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2015年1月12日付本欄 記事キリスト教会がスケート場に? 必要なのは"教義"のイノベーション

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2014年1月4日付本欄 同性愛、同性婚の是非に各国で動き キリスト教の価値観が揺れている

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2013年5月号記事 新ローマ法王は現代の聖フランチェスコになれるか? - 編集長コラム

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