中国が歴史的な事実ではない「南京大虐殺」と「従軍慰安婦」の資料を、ユネスコ記憶遺産に登録申請していることに対し、民間の保守系団体「南京の真実国民運動」と「慰安婦の真実国民運動」が7日、外務省や内閣府を訪れ、中国の登録を阻止するための行動を起こすよう要請した。

同日、会見を開いた藤岡信勝・拓殖大学客員教授は、「こうした民間団体の動きは、効果の点では日本政府の行動に及ばないと考えられる。登録阻止を確実にするために、日本政府の断固たる行動を、重ねて、強く要請したい」と話した。

この問題については、宗教政党の幸福実現党(釈量子党首)が、中国の資料の誤りを指摘した反論書を作成し、4月、5月、7月の3回にわたり、フランス・パリにあるユネスコ記憶遺産事務局を訪れ、中国の申請を却下するよう申し入れを行ってきたことを、本欄で紹介してきた。

日本政府は「南京大虐殺」「慰安婦の強制連行」を認めている!?

今回注目したいのは、日本政府の対応だ。

藤岡氏によると、申し入れを行った際、外務省側は「中国政府が申請した昨年6月以降、数回にわたって、中国政府及びユネスコ事務局に対して、『この申請は不適切であり、問題がある』と指摘してきた」と説明。しかし、藤岡氏が「その内容を教えていただきたい。文書でいただきたい」と話すと、外務省側は「それはできない。遠慮したい」と拒否したという。

なぜ、外務省が拒否したのか。一つの「解」を探りたい。

中国の申請が明るみになった直後の昨年6月24日、日本政府は、「中国がユネスコの場を政治的に利用しようとしていると受け止めざるを得ず、極めて遺憾である」とする答弁書を閣議決定した。これだけ見ると、がんばっているようにも見えるが、問題はその後に続く文言だ。

答弁書では、南京大虐殺について、こう答えている。「いわゆる『南京事件』については、昭和十二年の旧日本軍による南京入城後、非戦闘員の殺害又は略奪行為があったことは否定できないと考えているが、その具体的な数については、様々な議論があることもあり、政府として断定することは困難である」。

また、従軍慰安婦についても、「政府の基本的立場は、(河野)官房長官談話を継承している」と答えている。

つまり、詳しい経緯を知らない国民や諸外国の人々からすれば、日本政府が「南京大虐殺はあったが、具体的に殺した人数は分からない。慰安婦の強制連行もあった」と言っているようにしか見えないのだ。

日本政府は、こうした歴史認識をベースに、中国の申請に対して、一体どう反論しているというのか。

10月の最終審議に向けて、日本政府は登録を阻止すべき

ユネスコにおける中国の登録を阻止するには、日本政府が「南京における戦闘はあったが、民間人を大量に殺害した『南京大虐殺』は存在しない」という明確な事実を訴えるとともに、事実上、慰安婦の強制連行を認めた「河野談話」を明確に撤回する必要があるだろう。

そうした間違った歴史認識を修正する最大のチャンスが、8月の「安倍談話」であったはずだ。しかし、安倍晋三首相は、そのチャンスを手放し、過去の自虐的な歴史観を踏襲した。

10月上旬には、ユネスコ記憶遺産の最終審議が控えている。安倍首相並びに日本政府は、過去の“失策"を帳消しにするためにも、国際社会に正しい歴史認識を広めるためにも、中国の「南京」「慰安婦」資料に対して、積極的に反論し、登録を阻止しなければならない。(格)

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