国連の各委員会が出す勧告などは、日本の左翼活動家たちの主張が色濃く反映されていることは広く知られている。だが最近は、保守系団体の動きも活発だ。

これまで「日本軍による慰安婦の強制連行」への問題を提起してきた「女子差別撤廃委員会」の準備会合が7月27日にスイス・ジュネーブで行われ、事前登録によって初めて参加した保守系市民団体の発言が、委員の関心を集めた。

同行した関係者によると、次世代の党・前衆院議員の杉田水脈氏は「慰安婦の強制連行を報道してきた朝日新聞が誤報を認めたのを機に、日本では強制連行はなかったという認識が定着している」と発言。「なでしこアクション」代表の山本優美子氏は「アメリカでは慰安婦像が次々と設置され、人権問題という目的を逸して反日政治キャンペーンに利用されている」と話した。

真剣に耳を傾けていた差別撤廃委員は、「初めてこのような意見を知った」ともらしたという。

また、準備会合では、意見を述べる団体同士で、質問をぶつけ合う機会もあった。「在日韓国・朝鮮人女性へのヘイトスピーチ」の問題を提起した、左翼系の日本の団体に対して、「テキサス親父」ことトニー・マラーノ氏は「ヘイトスピーチは世界中に存在するし、日本人に対してもあるが、どうして在日韓国・朝鮮人だけを対象にするのか」と質問。発言者は答えに窮したという。

来年2月にニューヨークで開かれる委員会では、今回の準備会合で整理した確認事項について、各国政府からの報告が審査され、勧告が出される見通しだ。

国連内での主張が「歴史」をつくってきた

国連人権委員会は1994年、日本政府に対して「戦時慰安婦」問題解決を勧告し、その後「クマラスワミ報告」を作成。2014年には自由権規約委員会が日本政府に対し、「日本は、遠回しな『慰安婦』ではなく、適切な呼び方である『強制性奴隷』の呼称を使うべきだ」とした上で、「日本は責任を公式に認めて謝罪し、元慰安婦らに『完全な賠償』をするように」と勧告した。

これらはいずれも、90年代初めから日本の左翼活動家が主張し続けてきた「慰安婦は性奴隷」という主張を鵜呑みにしたもので、史実に基づいていない。

ジュネーブに同行した論破プロジェクト代表の藤井実彦氏は、「これまで国連は、左翼にとって最も気楽に嘘がつける場所だった。しかし、保守系団体が参加することで、間違った発言をチェックできる」と語り、今後もこうした取り組みの輪を広げたいとした。

その後一行は、パリのユネスコ本部を訪問。中国が記憶遺産に登録申請している「南京大虐殺」「従軍慰安婦」資料を却下するよう申し入れを行った。

この問題については、幸福実現党が4月、5月、7月の3回にわたり、同本部を訪れ、反論書を提示し、却下を求めている。

国際社会では沈黙すれば認めたことになる。日本人が正しい歴史認識を主張することは大切だ。国内のマスコミも、国を守ろうとする人々の活動をもフェアに報じるべきである。(晴)

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