韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が、9月2~4日に中国を訪れ、3日に行われる「抗日戦争勝利70年」の記念行事に出席する。反日色が強いイベントに、欧米諸国が政府高官の参加を自粛する中、韓国が出席に踏み切ったのは、中国との蜜月関係を印象づけるためだ。

朴大統領の参加について、ノ・グァンイル外交部報道官は20日、「9・3記念式典の性格と意味、私たちの抗日独立抗争の歴史、大統領の日程などをすべて勘案して判断した」と発表。「韓国が中国とともに、日本と戦った“歴史"がある」との主張が、参加の主な理由の一つと見られる。

韓国は連合国とともに戦った?

日本にはなじみの薄い韓国の歴史だが、韓国の「国史」教科書には、日本との戦いについて、こう書かれている。

「日帝(日本帝国主義)が太平洋戦争を起こすと、大韓民国臨時政府は日本に宣戦布告し、連合軍とともに独立戦争を展開した。このとき、(同政府が1940年に組織した)韓国光復軍は中国各地で中国軍と協力して日本軍と戦い、遠くインドやミャンマー(ビルマ)戦線にまで進み、イギリス軍とともに対日戦闘に参加した」

この記述を読めば、韓国が日本に歯向かったと思ってしまうだろう。しかし、これはまったくの事実誤認と言わざるを得ない。

まず、「大韓民国臨時政府は日本に宣戦布告し」とあるが、これは1941年12月9日に実際にあったことだ。しかし、当時、日本政府や連合国を含む国際社会は、同政府を国家として認めていなかった。そのため、この宣戦布告に国際法的な効力はない。韓国は日本国の一部だったことは、現在も国際社会の共通認識だ。

そしてその後段には、「韓国光復軍はイギリス軍とともに対日戦闘に参加した」と続いている。だが実際は、10人程度の同軍が、日本軍として戦っていた朝鮮人に対し、降伏を勧告するなどの「諜報活動」に従事したのみで、武力戦闘には参加していない。最大15万人を投入したイギリスの本気度に比べ、韓国が実態のない「戦歴」を強調するのは、イギリスに対しても失礼ではないか。そんな歴史を、公然と国民に教え続ける韓国には問題がある。

韓国は日本と同じく、敗戦国だ

一方、韓国が抗日戦争よりも熱心だったのは、日本軍への協力である。朝鮮半島出身の軍人や軍属は約24万人に達し、そのうち約2万人が戦死、あるいは行方不明だ。日本の同志として戦った経験により、戦後、初代から10代までの陸軍参謀総長は、日本の陸軍士官学校などの出身者が占めている。他ならぬ朴大統領の父、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領も、帝国陸軍の将校であったことは広く知られている。

客観的な歴史から見れば、韓国は日本と同じ、敗戦国だ。もし、抗日戦争勝利の式典に参加するなら、敗戦国として行くのが筋でもある。実態のない歴史をつくり出し、日本を不当に貶めるべきではない。(山本慧)

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