©2023 One Tree Productions
2024年4月号記事
Pick Up Movie
編集部がオススメする「今こそ観たい」映像作品。
「RED SHOES/レッド・シューズ」
3月15日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
喪失の悲しみを幸福へと導く、圧巻のダンス
- 【スタッフ】
- 監督:ジェシー・エイハーン、ジョアンヌ・サミュエル
- 【キャスト】
- 出演:ジュリエット・ドハーティ、ローレン・エスポジート、ジョエル・バーク、キャロリン・ボック、プリムローズ・カーン、ニコラス・アンドリアナコス、ミエッタ・ホワイト、アシュリー・ロス ほか
- 【配給等】
- 配給:彩プロ
- 【公開日】
- 2024年3月15日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
©2023 One Tree Productions
【レビュー】
バレエ名門校の若きホープ、サムは、プリマを務める演目『赤い靴』の本番を前に心が高揚していた。その舞台直前、常に憧れの存在だった姉から電話が入る。だが、通話中に姉は交通事故に遭遇。そのまま命を落としてしまう。姉も将来を嘱望されたバレリーナで、サムの心の支えだった。その死に重い責任を感じたサムは、深い喪失感を抱えながらバレエを辞めてしまう。
その半年後。退学したサムは、万引きで罰則の社会奉仕を課されるほどの自堕落ぶりだった。サムの将来を案じた両親は、半ばだますような形で以前のバレエ学校へ送り込み、社会奉仕の清掃員として通わせた。
優しく受け入れてくれた友人たち、冷淡な当時のライバル、復帰を願うかつてのダンスパートナー、そして、ダンサーたちを厳しく鍛え上げる師との再会。彼らを通して、サムはもう一度、心の奥に深い情熱を灯していく。
やがて再び『赤い靴』への出演が決まる。だが、トラウマの壁は厚く、もがき苦しみながら一つの選択を迫られることになる……。
本作の魅力は、主役以下、本物のバレエダンサーによる華麗なシーンと数々の音楽だ。歴史を感じさせるクラシックや現代音楽たちが、光の中でシーンを彩る。また、深い喪失の悲しみの向こうにある「幸福」を、「表現者」として伝えるべき物語へと昇華させていくサムのダンス。そこには、心の傷を癒やし、力強く成長していく圧倒的なパワーが溢れている。
©2023 One Tree Productions
ザ・リバティWeb シネマレビュー
「RED SHOES/レッド・シューズ」
(星3.5。満点は5つ)