信仰心が分からないと、善悪が逆転して見える典型的な例だ。

フリーライターの藤倉善郎氏が「新潮45」2017年4月号に、「幸福の科学 その『洗脳力』の研究」と題する記事を書いた。

一般的に「洗脳」とは、人をだまして組織に連れ込み、情報を遮断して反社会的な内容を教え込み、自由意志を奪うことを指す。オウム教や統一教会等の邪教は、自主的に入信する人が極めて少ないため、問題のある勧誘をしてきた。

一方、教えと活動に自信がある幸福の科学では、信者は正々堂々と信仰告白し、行事への参加や入信を勧めている。修行スタイルも情報遮断とは程遠く、大川隆法総裁の著作に限らず、1000冊以上の教養書を読み、新聞等で日々のニュースに関心を持つことを薦められる。幸福の科学は、開かれた知の体系を持ち、現代的問題にも答えが出せる「教養宗教」だからだ。

こうした学びを推奨するのは、幸福の科学は、すべての人を幸福にしたいという志を持っているためだ。さまざまな課題や考え方を持つ人たちを幸福に導くには、宗教的な「智慧」を獲得した人を数多く生み出す必要がある。この志を見ても、「組織的な洗脳によってものを考えないようにする」という邪教やカルトとはまったく異なる宗教といえる。

宗教に対する歪んだ見方

藤倉氏は、幸福の科学では思考力を奪う激しい修行や偽装勧誘といった「洗脳」がない代わりに、「自己洗脳」があるという。

記事は、虚偽の事実と名誉毀損に当たる記述が多く見られ、物事を歪めて見ている。そのためか、幸福の科学の教えが「荒唐無稽で現実離れ」しており、「洗脳」なくして信じるわけがないと思い込み、「自己洗脳」という無理のあるロジックを生み出したようだ。

藤倉氏が「荒唐無稽」とするのは、大川総裁が「至高神」「再誕の仏陀」と宣言していること、さまざまな霊人たちを呼んで本心を聞く「霊言」が行われていることだ。

藤倉氏の言う「自己洗脳」とは、多様なジャンルに渡る大川総裁の書籍を読み、そうした教えについて信者たちが語り合い、弟子として宗教的な使命があると考えるようになることを指している。「仏説・降魔経」の内容も曲解し、教団への不満や疑問を封じるための経文だとしている。

これらは、いずれも宗教として当然の内容ばかりだ。例えば、イスラム教のスタートは「霊言」にある。聖典『コーラン』に書かれているのは、ムハンマドを通してアッラー(あるいは仲介者ガブリエル)が語った教えだ。

仏教にも、あの世の如来たちが釈尊に教えを説くように願ったという「梵天勧請(ぼんてんかんじょう)」などがあり、これも霊との対話と言える。仏教の「降魔成道(ごうまじょうどう)」やキリスト教の「荒野での誘惑」などに見られるように、神仏の教えを広げまいとする悪魔も実在し、宗教者と悪魔が対決するのは常識だ。

また、現在の世界宗教は、開祖が自身を「神」「仏」もしくは「神の使徒」であることを宣言することから始まっている。なお、「至高神」とは、イエス・キリストが「天なる父」と呼んだ存在のことを指し、荒唐無稽でも何でもない。

神や仏を信じ、目に見えない世界の真実を探究しようとする「信仰心」や「菩提心(ぼだいしん)」は、人間の高邁な精神の発露だ。

幸福の科学の場合、獲得した「智慧」によって幸福になった人たちは、自然に「それを他の人に伝えたい」「神の理想のために生きたい」という「使命感」を持つ。自分を向上させる「私的幸福」と、それを利他の精神で他の人々に分け与える「公的幸福」の両方を地球規模で実現することを目指している。

自己を超えた尊い存在のために生きた人がいたことで人類は発展してきた。奴隷解放のために戦ったリンカン、フランスを救ったジャンヌ・ダルクなど、歴史上、神の教えを体現すべく身命を賭した人も数多い。こうした信仰者たちの活動を「自己洗脳」と称する藤倉氏は、宗教的に無知であり、無教養といえよう。

これ以上の罪を犯さないために

結局、藤倉氏は、神も仏もあるものかという唯物的価値観こそ真実だと思い込んでいるのだろうが、これこそまさに「洗脳」と言える。しかも、幸福の科学をオウムや統一教会と同一視し、他の人をも「洗脳」に巻き込もうとしている。

幸福の科学は、多くの人を幸福にしている本物の宗教であり、信者も毎年増え続けている。幸福の科学への誹謗中傷をもって生業としようとするならば、その試みはまったくの無駄に終わる。藤倉氏は、釈尊やイエス・キリストの教えを直接聞き、弟子となった人々にも同じように言うのだろうか。

これ以上の罪を犯さないためにも、自分自身に対する「洗脳」について研究を始めるべきだろう。

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