ハリウッド映画で、中国色が強い映画が増えている。
例えば、公開中の映画「オデッセイ」にも中国の影がちらついている。「オデッセイ」は、火星に取り残された宇宙飛行士の奮闘と、彼を救い出そうとする仲間たちを描いたSF映画。中国国家航天局が救助の重要な役割を担い、中国人も数多く登場する。
ある映画評論家は、「まるで米中共同救出作戦のようで、違和感を覚えた。(中略)映画の世界では米中は共闘しており、若干、中国の方が優勢な印象。将来を暗示しているようで、考えてしまう」と語った(22日付産経新聞)。
中国国内でも、映画の興行収入が急伸した。昨年の中国国内の興行収入は、前年比の48.7%増の約7710億円で、日本の約4倍の規模となった。2017年には、アメリカを抜いて世界最大の映画市場になると言われている。
思想戦が繰り広げられている「映画業界」
習近平政権は、ソフトパワー強化のため、映画産業に力を入れているが、怖いのは、「中国は世界最強」という価値観が、こうした映画を通じて世界に広がることだ。
中国は、「中国は強く、素晴らしい国」だとするプロパガンダ映画を数多く製作している。中国では、旧日本軍の残虐な行為を描いた「抗日映画・ドラマ」が毎日のように放送され、日本人を侮蔑する中国人も少なくない。
だが実際の中国は、言論・人権弾圧が公然と行われる国だ。映画での宣伝に騙され、世界に「中国はヒーロー」として認める風潮ができることは、阻止しなければならない。
日本はもっとソフトパワーを使える
中国に「自由、民主主義、人権、法治」といった価値観を浸透させていくために、日本は自らの持つソフトパワーをもっと上手に使う必要がある。
例えば、優秀な中国人の留学生の受け入れや、若く将来性のある中国人リーダー層との交流だ。日本で「自由や民主主義、法治」といった価値観に触れた若きリーダーがさらに増えれば、その価値観に基づき、政治改革を行う中国人も現れるだろう。
その他にも、日本に観光に来た多数の中国人に、後ろ姿で道徳やマナーの大切さを示すことも重要だ。これも、ソフトパワーの一つと言える。
さらに、中国共産党の精神基盤である唯物論を覆すためには、「あの世」や「霊」、「信仰」を扱う映画が増えることも大切だ。
実際、そうしたことを題材にした邦画も増えている。今年の日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞した嵐・二宮和也さんが映画「母と暮せば」で演じたのも、霊だった。19日からは、天使の働きを描いた映画「天使に"アイム・ファイン"」も全国で一斉公開されている。
中国国内にも、中国を「自由」や「民主主義」といった価値観に基づいた国に変える使命を持った"天使"が眠っているはずだ。そうした人々を応援するためにも、日本はソフトパワーに気付き、その力を駆使する必要がある。
(山本泉)
【関連書籍】
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