中国の李克強副首相が、欧州歴訪中に、スペイン国債の買い増しを表明している。中国はほかにもギリシャやアイルランド、ポルトガルなどユーロ周縁国の国債を買い進めていると伝えられる。中国はその目的を「ユーロ支援」と言うが、当然、その狙いは欧州への政治的影響力の強化だ。

1997 年に日本の橋本龍太郎首相が所有する米国債の売却をほのめかしただけで、NYの株式市場が急落したことがあった。この事実が示すのは、国債売却は外交カードとして使えるということ。

通常の商売でもそうだが、債権者の立場は強い。中国は債権国として、経済覇権を握ろうとしており、その増大する影響力の行方には注視すべきだ。

ただ、中国の国債を含めた対外純資産は約 168兆円(09年末)と巨額に上ることは確かだが、日本のそれは約266兆円とダントツで世界一。それを考えれば、必要以上に中国脅威論を煽ってもいけないだろう。(村)

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