少し前に「下山の思想」が話題になった。「成長神話の呪縛」などの物々しい言葉を使って、「日本は、もう物質的繁栄は十分だ。経済成長を求めるのは終わりにしよう」といったムードをかもし出そうとしていた。だが世界に目を転ずれば、いまなお10億人以上が極貧に喘(あえ)いでいる。日本が経済成長を放棄するのは、彼らを助ける義務と責任を負おうとしない、視野の狭いエゴイズムに他ならない。英誌Economist(6月1日号)のカバーストーリー「貧困の終わりに向けて」が、改めてそう思わせてくれた。

・・・・・・(2ページ目から全文をお読みいただけます)