グローバル企業、米アップル社の課税逃れ問題が、大きな話題となっている。米上院の行政監察小委員会は20日、同社が、自身の海外子会社を活用して、多額の法人税の納税を回避していたとする報告書を発表。21日の公聴会で、同社のクック最高責任者(CEO)に対する追及がなされた。22日付各紙が報じた。

アップル社のような米企業をはじめ、IT関連のグローバル企業を中心に、本国での課税逃れ問題が指摘されており、各国の税制改革議論が活発化しそうだ。財政状態が芳しくない国が多い欧州連合(EU)では、脱税や課税回避の対策を本格化させる動きもでている。

報告書によると、アップル社は、連邦法人税率が35%と高いアメリカではなく、実質的な税率が2%以下(通常は12.5%だが、同社が交渉の末、可能にした)のアイルランドに子会社を設立。そこに世界全体で得られた利益の大部分を移転した(22日付日経新聞)。節税が噂される他のグローバル企業(グーグル、アマゾン・ドット・コム、スターバックスなど)も、本国よりも低税率な国に設立した子会社を通じて、製品を海外に販売し、利益や特許料収入をその子会社に集めているという。

しかし、こうした手法は合法であり、問題はむしろ、世界的大企業を生み出す先進国で、法人税率が非常に高くなっていることだろう。例えば、日本の国と地方を合わせた法人実効税率は35.64%であり、加えて、種々の社会保険料などの負担も重い。

高い税率をかけても、アップル社のように巧みな節税策が流行るだけで、その国の経済に良い影響が及ぶことは少ない。国家は、高い税率をかけて大企業から税金を搾り取るようなマルクス主義的考えは捨て、「小さな政府・安い税金」を目指し、企業や国民の判断に任せる部分を増やして、自由な経済活動を促進すべきだ。(原)

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