中国の海洋進出計画が着々と進行している。3日付ネットニュース「中国網」日本語版は、中国が護衛艦や駆逐艦の大規模な建造をすると報じた。中国は海に関してどう動いているのか、最近の海洋進出関係の動きをまとめてみた。

  • 3月に行われた全人代(国会)では温家宝首相が「強固な国防と強大な軍隊を打ち立て、国家の主権・安全・領土保全を断固として守らなければならない」と発言した(3月5日)。温首相は「国家の海洋権益を守る」と強調したが、専守防衛は軍事拡張の口実に過ぎない。
  • 船舶の管理を一元化(3月10日)。国家海洋局や農業省、警察、税関などがそれぞれ管理していた約3000隻の船を国家海洋局が一元管理することを中国政府が決定した。海洋の管理力強化を狙っており、海への関心が高まっていることを示している。
  • 中国外務省が初めて、公の場で沖縄県・尖閣諸島を「中国の核心的利益」と発言した(4月26日)。核心的利益という表現は、中国がその権利を守るために軍事力の行使をいとわない地域に対して使われる。これは中国が尖閣について、自治区として組みこまれたウイグル、チベットや、中国が軍事衝突を起こしている南沙諸島と同じ扱いをすることを意味する。
  • 原子力空母艦隊を3編成以上つくるとの基本戦略が中国共産党の内部文書に掲げられていることを、中国メディアが報じた(5月2日)。中国には昨年就航した空母「遼寧」が1隻あるが、その動力は原子力ではなく、訓練用でしかない。中国は本格的に原子力空母艦隊をつくり、北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊にそれぞれ配備する戦略と見られる。原子力空母を10隻保有するアメリカを意識した動きだろう。
  • 護衛艦や駆逐艦の大規模な建造が報じられた(5月3日)。空母は装甲がもろく、護衛艦や駆逐艦、潜水艦などを含む空母艦隊を用意しなければ実際には運用できない。護衛艦などを建造し、隊列で航行する訓練を積んで初めて外洋に出られる。空母艦隊を本格的につくるということだ。

尖閣を「自国の領土」と声高に主張し、海洋管理能力を強化、空母艦隊の建造など、外洋進出の準備を着々と進めている中国。その目的が専守防衛であるはずがない。日本はこの現実を直視し、早急に対策を講じなければならない。(居)

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