安倍政権は4日、発足から100日を迎えた。アベノミクスと呼ばれる経済政策で株高と円安が進み、政権発足時から日経平均株価は21%上昇、円は8.6%円安に振れ、景気は上向き。支持率は7割前後と依然として高い水準だ。さらなる金融緩和や政府による財政出動、TPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加表明により、「安倍政権への期待感」から生まれた景気上昇から、実質的な経済成長への転換を目指す動きは評価できる。

安倍晋三首相は側近に「7月の参院選までは経済でいく」との意向を伝えているという。もちろん参院選の争点に経済も挙がることだろう。原発停止による火力発電のフル稼働の影響で化石燃料費がかさみ、円安がその輸入費の高騰を後押ししてしまっている。輸入費の高騰は電気料金の値上げに直結している。消費増税と合わせて回復基調にある日本経済の足を引っ張って本当によいのかという問題もある。

しかし、急激に増している周辺国の脅威を考えれば、経済だけでなく国防の議論も早急に本格化させなければならない。朝鮮半島では南北の緊張が高まり、北朝鮮の核ミサイルによる脅しはアメリカ、そして日本にも及ぶ。また、日本は習近平体制となった覇権国家中国の脅威にもさらされている。首相は就任前、自衛隊の国防軍への改称や原発再稼働を唱えていたが、本心では必要と思っていても、参院選まではマスコミの批判を怖れて“安全運転"で黙っているということでいいのか。

首相はよく「政治は結果だ」と言うようだが、"結果"が出てからでは遅い国防や、そのための憲法解釈の変更、成長戦略に欠かせないエネルギー確保のための原発再稼働など、票になりづらいことでも言うべきことは言うべきだ。重要な問題を先送りすることなく、国民の生命・安全・財産を守る責任と気概をもって取り組んでこそ、国民から真の支持と信頼を長く得ることができるだろう。(原)

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2013年3月30日付本欄 年度末株価は5年ぶり高値 アベノミクスの死角は原発再稼動か

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