橋下徹大阪市長が代表の日本維新の会が、先週末の27日、次期衆院選挙候補者155人を選抜した。日本維新の会は、全国の小選挙区と比例代表で計350人規模の候補者擁立を目指して現在2次公募を行っており、選考は来月の予定だ。今後、石原慎太郎氏が作る新党やみんなの党などとの連携協議の結果を踏まえて、公認候補の人選や選挙区を決定するという。

その衆院選で掲げる公約の原案が26日に発表されたが、橋下氏の持論である「道州制の実現」のほか、「既存の原発を2030年までに全廃」「2045年を目標に国内に駐留する外国軍を全廃」「日本全体で沖縄の負担軽減を図る」など、「左寄り」の政策が並んでいる。

かと思えば、「皇室を尊び、日本の歴史と伝統を尊重する歴史教育を行う」「竹島・尖閣・北方4島は日本固有の領土であることについて妥協しない」「集団的自衛権の憲法解釈を変更する」といった「右寄り」の政策や理念もある。さらには、首相公選制や年金制度改革、TPP参加、衆院定数の大幅削減など、実に「盛り沢山」である。

だが、日本維新の会が国会で議席を獲得し、上記の政策が実現できたとして、それによって日本はどのような姿をした国家になるのか、まったくイメージが湧いてこない。

もしかしたら、これらの公約は「観測気球」で、マスコミや世論がどう反応するのか、どの政策で票が取れるのか見極めようとしているのだろうか。単なる人気取りであるならば、橋下氏が狙うような維新の会への「風」は期待できないだろう。

石原氏やみんなの党とほぼ一致しているのは、「中央集権体制と官僚支配の打破」くらいで、消費税や原発の問題では食い違いがある。民主党、自民党の二大勢力を抑える「第三極」は、呉越同舟、同床異夢の「鵺(ぬえ)」のようだ。第三極結集の前途多難が予想される。〈宮〉

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