学部の秋入学移行を検討してきた東京大学の懇親会は29日、1月の中間報告以降の批判意見を踏まえた最終報告をまとめた。30日付各紙が伝えている。

秋入学にする目的は、諸外国と入学時期を合わせることで多くの留学生を日本に呼び込み、大学の国際評価を上げること。合格から入学まで半年間の「ギャップターム」は、短期留学や企業での就業体験(インターン)などの課外活動に充てるとしている。近日中に12大学で「教育改革推進懇話会」を設立し、5年後の秋入学全面移行を目指す。

イギリスの教育調査機関が発表した世界大学評価によると、日本はGDP世界3位にもかかわらず、上位にランクインしているのは東京大学の8位と京都大学の20位のみ。東大の秋入学移行は「グローバル・リーダー」育成を謳っており、日本が、世界を牽引すべき大国として本来の姿を目指す動きとも言える。

しかし、単に入学時期の移行だけで、国際評価を上げることができるのか。

大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁は、すでに1999年の著書『繁栄の法』で、日本は高学歴社会ではあるが「学問の内容に実用性と国際競争性があまりない」と批判している。また昨年の『教育の法』では、日本の学校教育が知識の習得にとどまり、その奥にある思想性にまで届いていないことや、東京大学の卒業生の活躍が貧弱で「ミスを恐れる心」「事なかれ主義」が蔓延していることなどを指摘し、「新しい時代のエリートたちは、失敗を恐れず果敢に挑戦して、未来を拓いていこうとする人材でなければなりません。」と述べている。

本当に日本の大学が国際評価を上げたいなら、海外の若者から見ても魅力的な教育を実施し、各分野で世界をリードするエリートを輩出する役割を担うことが求められる。そのためには、入学時期などの「制度」変更以前に、実学や語学教育を充実させ、学問本来の目的や使命感に立ち返るといった、「内容」の見直しから始めるべきだろう。(飯)

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2011年7月1日付本欄 東大が入学時期を秋にすることを検討

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2314