経済産業省原子力安全・保安院は9日、2例目となる四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)のストレステスト(耐性調査)の結果を「妥当」とする審査書案を提示した。

菅直人前首相が政権を手離す置き土産で導入になったストレステストは、定期検査に入った原発を「封印」するためと言ってもいい。たとえ安全性を机上の安全基準に基づき検査し、それを数値化したとしても、現実には現状は何の変化もなく、安全性が一歩も向上するわけではないからだ。

普通に考えれば、原発の専門家や権威が検証を加えた審査書案に、再稼働の条件のストレステスト結果が「妥当」とされた時点で、自動的に再稼働しても何ら問題はない。しかしそうならないのは、やはりストレステスト自体が再稼動を先延ばしする目的だったからだろう。

そもそも福島第1原発の事故は、地震に起因して起こったものではなかった。事故は津波による全電源喪失という、いわば「停電状態」を回復させることができず、原子炉内温度を冷却する機能を取り戻せなかったことで起きた。つまり、単純な電気系統の配線ミス、あるいは稚拙な電源確保体制が原因している。

実際、福島第1原発より震源地に近い女川原発を始め、どの原発も十分な耐震性が証明されている。今回の事故の教訓を汲み取るならば、「電源確保の徹底追求」でなくてはならない。耐性調査を持ち出して原発を止めなければならない理由はどこにもない。(憲)

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2011年7月8日付本欄 はじめから「全原発停止」を狙っていた菅首相

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2364