11月の米大統領選挙に向けた共和党の公認争いは、10州で予備選挙や党員集会が行われる3月6日のスーパー・チューズデーを見据え、各候補が支持を訴えている。
7日にコロラドなど3州で行われた党員集会と予備選挙では、サントラム元上院議員が全勝。穏健派として知られるトップのロムニー前マサチューセッツ州知事が、保守派の支持を集められないという弱点を克服できていないことを示した。
また、1月31日のフロリダ予備選挙で、ロムニー氏とギングリッチ元下院議長がネガティブ・キャンペーン合戦を展開したため、「刺し違え」の形で両候補がイメージを落としたという見方もできる。
共和党公認争いはロムニー氏とギングリッチ氏との、穏健派対保守派の事実上の一騎打ちになっていたが、サントラム氏は7日の勝利を追い風に、ギングリッチ氏に代わる保守候補としての立場を確立したいところだ。
しかし、保守票に頼ったサントラム氏の選挙戦には、資金力と政策のパンチ力に弱点がある。10日の米ウォールストリート・ジャーナル紙は「アイオワの時から懸命に訴えている『信仰、家族、自由』のラインを超えて、サントラム氏には、大きくて新しい、人々に火を付けるようなメッセージが必要だ」と論じている。
「局地戦」を展開するサントラム氏が、今後より広い支持を集められるかが注目される。
28日にはロムニー氏の出身であるミシガン州で、スーパー・チューズデーではギングリッチ氏の地元ジョージア州でも予備選挙が行われるが、サントラム氏は他候補のお膝元に重点を置き、一騎打ちを挑む構えだ。
追い上げるサントラム氏は、逆にロムニー氏の攻撃を受ける立場に立つことにもなるため、しばらく注目が逸れるギングリッチ氏に有利に働くこともありえる。
サントラム氏が踏みとどまって三つ巴になるか、あるいはギングリッチ氏が3・6決戦でカムバックするのか、選挙戦の情勢はなおも流動的である。
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