中国・北京市地下鉄が11月中をめどに、40以上の駅で転落防止のホームドアの設置を進めていることを、15日付の中国情報専門紙「週刊チャイニーズドラゴン」が報じている。

同紙によると、今回、設置されるのは40以上の駅で計4030個。新しい路線の一部には、すでに設置されている箇所もあるが、全体的にカバー率は低い。多額の費用がかかるが、転落防止ドアが各種事故の減少に効果をあげていることから、今後、他路線でも設置数を増やしていくという。

北京市地下鉄がホームドアの設置に力を入れる背景が興味深い。「無理な駆け込み、満員の車内への割り込み乗車などは日常茶飯事。こうした行為によって、ラッシュ時に車両のドアなどが壊され、乗客を全員下したうえ、車庫に回送するというトラブルも起こっている」(同紙)。

手前味噌になるが、ホームドアの設置について、日本国内でいち早く提言したのは本誌だった。2001年4月号の記事「転落防止事故へ投資の義務付けを」で、ホームドア、ホーム柵がない駅は「欄干のない橋」と指摘し、その後も、再三にわたって、鉄道各社に設置を促してきた。

当時、本誌編集部が取材したときは極めて消極的だったJR東日本も、現在では、2017年度内のなるべく早いうちに、山手線の全29駅に設置すると工事を進めている。

本誌の提言が、中国まで届いたかどうかは定かではないが、北京でのホームドアの設置が進むことは喜ばしい。(格)

【関連記事】2003年12月号記事 今こそホーム柵で転落事故を防げ

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2006年2月号記事 転落防止のためにホーム柵の設置を

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=313