安住財務大臣は、財務省の広告塔と化してか、財務省の言いたいことを大臣として発言しているようだ。

23日付朝日新聞によると、宮城県で安住氏はこう語ったという。

「国の年間予算の10倍近い累積債務。いずれ返さないといけない。孫や子に財産を残したおじいちゃんやおばあちゃんなら『ありがとう』ってなるが、借金を残したまま死んだらお墓参りに来てくれない。復興予算は孫子に借金を残さないで現役世代で返すということでつくった」

財務省が盛んに「今年中に国の借金は1千兆円を超える。だから復興財源は税金で賄うべき」と主張していることを、そのまま安住氏は分かりやすい言葉で話しているつもりだろうが、これはまったく逆だ。

繰り返し本欄でも言っているように、「国の借金」は「国民の借金」ではない。むしろ国民は貸し手なのだから、国が国民に返すべきお金だ。だから話が逆で、「現役世代は孫子に(国にお金を貸して)財産を残している」というのが正しい図式だ。

また、同じく22日、歴史的円高に対して安住氏は「行き過ぎた投機的な動きには断固たる措置を取りたい」と述べ、円売り介入を検討する考えを強調した。

しかし、円売り介入で一時的には円安方向に動いても、またすぐに円高に戻ってきているのは、これまでの介入で実証済みだ。つまり単なる「投機的な動き」ではなく、円と他の通貨との相対関係で円高になっているのだ。

それに、これまで何兆円ものお金を注ぎ込んで「円売りドル買い」介入をやった結果、ドルはいっぱい溜まったが、ドルの価値が下がり続けているため、介入すればするほど日本は損をしているのだ。

こんなに日本を貧乏にする政策ばかりを取り続ける財務省とその上に乗っかる野田政権だが、彼らにメリットはあるのか。財務省は基本的に不況が好きなのだろう。不況になるほど民間は苦しみ、国に助けを求めてくる。好況で民間が儲かれば、相対的に官僚の報酬が低くなる。

要は政治家がもっと勉強して、国民の立場に立って、官僚を使いこなせなければ駄目だ。官僚に頼り切って自分の言葉で話せない閣僚ばかりの野田政権では、官僚の手先となるばかりだろう。(仁)