菅政権はこのほど消費税を2010年代半ばまでに10%に増税する方針を決めたが、菅直人首相が「日本もギリシャのように財政破綻する」と煽っていた当のギリシャはどんな手を打っているか。

ドイツなどから財政支援を受けるために、必死で国有資産を売却している。目標は2015年までに500億ユーロ(約5兆8650億円)。その中身を挙げると、

  1. 国内に約6000ある島の一部。人気観光地のロードス島やミコノス島(3分の1は政府保有)も対象。長期のリースにも応じる。
  2. 銀行、鉄道、電力・ガス・水道会社、郵政事業、通信事業などの政府保有株。
  3. スポーツくじ事業の政府保有株(時価総額1・8兆円)。宝くじ発行・販売権。
  4. 政府建物、国有地、空港、高速道路、港湾、オリンピック会場、農地などの不動産。

もちろんギリシャ政府は、酒・たばこへの増税、年金や公務員給与の引き下げなど歳出削減も取り組んでいるが、国有資産売却が大きな柱となっている。

本誌は「日本は世界一の債権国であり、日本の財政赤字はギリシャとは違って危機的なレベルではない」と考えるが、菅首相が「このままならギリシャのようになる」と考えるならば、是非ともギリシャの真似をしてもらいたい。

菅首相がやるべきは、庁舎や公務員宿舎、未利用国有地、政府保有株などの売却だ(政府の試算では約72兆円相当)。日本郵政、NTT、JT、高速道路6社、成田空港、関空などの保有株の売却だけで22兆円以上の資金が得られるという。サッカーくじも文科省傘下の独立行政法人が運営しているから売却可能だ。

増税を決める前に資産売却についてほとんどまったく検討されていないこと自体、菅首相が財務省の言いなりになっていることを証明している。(織)